研究者情報

小林 達夫

教授

KOBAYASHI Tatsuo

素粒子の世界と宇宙の謎に挑む

物理学部門 非線形物理学分野

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研究テーマ

ミクロな素粒子の世界とマクロな宇宙の謎を解明する理論(超弦理論)の探求

研究分野素粒子論, 宇宙論
キーワード超弦理論, 素粒子標準理論, 宇宙論, コンパクト空間

研究紹介

重力を含むすべての相互作用やクォーク・レプトン、そしてヒッグス粒子などの素粒子を統一的に記述する有望な理論が、超弦理論である。その超弦理論からどのような素粒子像が導かれるかそのような宇宙像が導かれるかの研究を行っている。超弦理論は理論の整合性のために、我々の4次元以外に6次元空間を予言する。その6次元空間はコンパクトな空間となっている考えられているが、その幾何学的性質により現れる素粒子像が異なり、どのようなコンパクト空間が我々の世界を記述し、どのような予言がえられるかの研究を行っている。

代表的な研究業績

Y.Katsuki, Y.Kawamura, T.Kobayashi, N.Ohtsubo, Y.Ono and K.Tanioka,
''Z(n) Orbifold Models,''
Nucl. Phys. B 341, 611 (1990).
T.Kobayashi, S.Raby and R.J.Zhang,
''Searching for realistic 4d string models with a Pati-Salam symmetry: Orbifold grand unified theories from heterotic string compactification on a Z(6) orbifold,''
Nucl. Phys. B 704, 3 (2005)
K.Choi, K.S.Jeong, T.Kobayashi and K.i.Okumura,
''Little SUSY hierarchy in mixed modulus-anomaly mediation,''
Phys. Lett. B 633, 355 (2006)
T.Kobayashi, H.P.Nilles, F.Ploger, S.Raby and M.Ratz,
''Stringy origin of non-Abelian discrete flavor symmetries,''
Nucl. Phys. B 768, 135 (2007)
H.Ishimori, T.Kobayashi, H.Ohki, Y.Shimizu, H.Okada and M.Tanimoto,
''Non-Abelian Discrete Symmetries in Particle Physics,''
Prog. Theor. Phys. Suppl. 183, 1 (2010)
学位学術博士

物理学部門 非線形物理学分野

小林 達夫

教授

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いま没頭している研究テーマや挑戦されている大きなプロジェクトを紹介してください。

私は長年超ひも理論から素粒子や宇宙の様々な謎を解明する研究を行っています。我々の世界には様々な素粒子が存在し、電荷、質量などが異なり、いろいろな性質を示します。さらに、素粒子間に働く力も様々です。超ひも理論はその根源が1次元的に伸びた小さなひもであるという理論です。そして驚くことに、我々が日常感じている空間のほかに、現在の技術レベルでは観測できない小さな空間が存在することを予言します。どのような幾何学的構造をもつ空間なのかは現在分かっていません。しかし、その小さな空間内で、単純なひもが多様な運動をしたり、あるいは巻き付いたりしていろいろな状態となります。それが様々な素粒子の性質や力の起源だと考えられています。私はこの小さな空間の幾何学から素粒子論・宇宙論の謎の解明を行っています。

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研究者になったきっかけは何ですか?

私が研究者となったきっかけは、ドラマチックではないかも知れません。幼いころから著名な研究者に憧れたとか、星を見るのが好きだったとかではありません。「数式いじり」が好きだった少年が物理学科に入り、その流れで理論物理に触れました。学部の4年生となっても「物理」を理解した気になれません。もう少し知りたいと思い、大学院に進学しました。大学院では少し「研究」というものに触れましたが、博士課程が修了に近づいても、「まだ足りない、もう少し続けていたい」と思うようになりました。「大志」があった訳でもありません。また、「最終的に大学の職につける」という自信があった訳でもありません。「まだ足りない、もう少しもう少し」と様々な研究機関の研究員として研究を続けるうちに、「人がいうところの研究者」となっていました。
まだまだ。もう一歩先へ、もう一歩高みへ、、、

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研究に行き詰まったらどんなことをしますか?

「行き詰まる」にはいろいろな種類があるでしょう。1つは今後の研究の新展開としての方向性が見いだせない。2つ目は、研究の方向性は明確であるが、問題がありその打開策が全然分からない。前者に関しては、これまでほとんど行き詰まったことはありません。私は学生を含め多くの研究者とよく議論をします。自分のアイデアを自分の頭だけにとどめておくことができない質で、くだらないアイデアであろうが何であろうが、周りの人に話します。周りは寛容で「うるさい」と思いながらも聞いてくれます。そうすると、周りの研究者からもアイデアを持ちかけてくれて、「アイデア合戦」となり新展開の方向性が見えてきます。後者の方は放置します。しかし、頭の片隅に問題点を記憶しておきます。そしてある時打開策が浮かぶのを待ちます。よくあるのは歩いている途中とベッドの中で打開策の尻尾をつかみます。今日も北大の美しいキャンパスを、ときに難しい顔をして、ときに一人ニンマリと笑いながら歩いています。

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得意なこと、大好きなこと、趣味、日課を教えてください。

私はビールが大好きです。学生のころから好きでしたが、決定的となったのは、ミュンヘン大学のポスドク研究員として、ミュンヘンで過ごした経験です。現在の日本ではクラフトビールも有名になっていますが、当時の日本はやはり大手のビール会社のビールしか出回っていない時代です。ドイツでは、地方ごとに数件のビール醸造所があり、その地方の気候風土に合わせた、それぞれの醸造所が独特のビール作りをしています。ビール1つをとっても日本との違いを感じました。この頃に触れたもの、人との交流が私の現在のものの見方、考え方の根っこを作っています。ヨーロッパの夏の日差しの中、路上のオープンテラスで飲んだビールを今でも懐かしく思います。
“Ein Helles bitte”

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