研究者情報

水島 秀成

助教

MIZUSHIMA Shusei

鳥類の不思議な受精機構

生物科学部門 生殖発生生物学分野

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研究テーマ

鳥類の受精・初期発生機構の解明と受精システムを利用した鳥類遺伝子工学技術の確立

研究分野鳥類生命工学
キーワード鳥類, 多精受精, 卵賦活化, 生殖細胞, 卵割, 体外受精, ゲノム編集

研究紹介

決して珍しいものでは有りませんが、鳥類の受精では一つの卵に数十個の精子が侵入します。このような現象を多精受精と呼びます。私たちは、鳥類の胚発生の開始に、複数の精子による刺激が必要であることを突き止めてきました。しかしながら、卵内では、受精に関与しない精子も沢山含まれています。これらの精子はどのようにして選別されるのかなど、鳥類の多精受精には、まだまだミステリアスな部分が多く残されています(図1 生殖盤内での精子核の挙動と分解)。それらの全容解明を目指しています。
また体外受精システム(図2 鳥類特有の体外受精システム)を利用したゲノム編集技術を立ち上げ、雌雄生殖細胞の分化や雌鶏の性決定機構の解明を進めたいと考えています。

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図2 鳥類特有の体外受精システム
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図2 鳥類特有の体外受精システム

代表的な研究業績

Fertilization 2: Polyspermic fertilization II, S. Mizushima, Adv. Exp. Med. Biol., 2017, 1001, 105-123.
Handling of gamates for in vitro insemination in birds. S. Mizushima, M. Matsuzaki, T. Sasanami, Method. Mol. Biol., 2017, 1650, 243-257.
Lactic acid is a sperm motility inactivation factor in the sperm storage tubules of the domestic bird, M. Matsuzaki, S. Mizushima, G. Hiyama, N. Hirohashi, K. Shiba, K. Inaba, T. Suzuki, H. Dohra, T. Ohnishi, Y. Sato, T. Kohsaka, Y. Ichikawa, Y. Atsumi, T. Yoshimura, T. Sasanami, Sci. Rep., 2015, 5, 17643.
The birth of quail chicks after intracytoplasmic sperm injection, S. Mizushima, G. Hiyama, K. Shiba, K. Inaba, H. Dohra, T. Ono, K. Shimada, T. Sasanami, Development, 2014, 141, 3799-3806.
Novel method of gene transfer in birds: intracytoplasmic sperm injection for green fluorescent protein expression in quail blastoderms, S. Mizushima, T. Ono, Y. Atsumi, A. Tsukada, N. Saito, T. Sasanami, M. Okabe, K. Shimada, Biol. Reprod., 2010, 83, 965-969.
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関連産業分野

畜産, 医薬品, 生殖医療
学位博士(農学)
学歴・職歴2002年 麻布大学獣医学部動物応用科学科 卒業
2005年 名古屋大学大学院生命農学研究科 博士前期課程修了
2008年 名古屋大学大学院生命農学研究科 博士後期課程修了
2008-2011 早稲田大学人間科学学術院 助手
2011-2014 静岡大学大学院農学研究科 日本学術振興会特別研究員
2015-2016 富山大学大学院理工学研究部 特命助教
2017- 現職
2015- 静岡大学大学院農学研究科 客員准教授
所属学会日本家禽学会, 世界家禽学会, 日本畜産学会, 日本動物学会
居室理学部5号館 11-03室

生物科学部門 生殖発生生物学分野

水島 秀成

助教

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研究を通して叶えたい夢は何ですか?

絶滅鳥種を復活させたい。野生動物の生息地の環境破壊や環境汚染物質の影響により絶滅種や絶滅危惧種は急速に増加しています。特に近年の高病原性鳥インフルエンザは世界中の脅威となっています。しかし、現時点において、鳥類の生殖細胞(精子や卵)を長期間に渡って保存することは難しく、また体外受精技術(人工授精の一種)も十分に確立されていません。現在は、哺乳類の不妊治療法や体細胞核移植(クローン)技術を参考に、ウズラやニワトリ個体を復元できる技術の構築を目指した研究を行っています。

体外受精によって産まれたウズラヒナ
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いま没頭している研究テーマは何ですか?

トリの受精は1個の卵に複数の精子が連続して侵入する多精侵入(多精受精)することで成立しています。その数は少なくても多過ぎても、その後の発生が正常に進行しません。興味深いことに、稀に精子の数が少ない場合でも受精が成立することはありますが、生殖細胞が形成されません。現在は、生殖細胞の性質や分化、そして誕生する分子メカニズムについて調べています。

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得意なこと、⼤好きなこと、趣味、⽇課を教えてください。

趣味は全国の史跡を巡ることです。特に戦国時代を駆け抜けた偉人の逸話や出来事を古戦場跡や寺社で得られる資料をもとに学んでいます。また北海道は自然が豊かであり、独特な景観も楽しめるので、週末には観光名所や登山にも出かけています。これらはとても良い気分転換になっています。いずれは北海道百名山を登覇したいです。