研究テーマ | 理学部および関連大学院での新教育システムの調査と研究 |
研究分野 | 機能生物化学, タンパク質化学, 細胞内シグナル伝達 |
キーワード | タンパク質のリン酸化・脱リン酸化, カルシウムシグナリング, ホスファターゼ, カルシニューリン, カルモジュリン |
研究紹介
タンパク質のリン酸化・脱リン酸化は細胞内の様々なプロセスを制御する主要な機構です。脱リン酸化酵素の一つであるプロテインフォスファターゼ3は、Ca2+とカルモジュリンによって活性が直接制御される酵素で、神経組織に多く発現していることからカルシニューリンとも呼ばれます。カルシニューリンは、記憶や免疫細胞の活性化に関与することがよく研究されていますが、心筋や骨格筋の再構築など、生体内の多くの組織で重要な機能を持つことが明らかになってきています。また、この酵素は精巣で多量に発現していることが古くから知られており、発現時期などから精子形成に関わると考えられていますが、その具体的な機能は明らかにされていません。私たちは精巣でのカルシニューリンの機能を解明したいと考えています。
近年、カルシニューリンと結合し、その機能を調節すると考えられるタンパク質が相次いで報告されました。我々もまた、精巣に高発現するカルシニューリン結合タンパク質、CaNBP75を見いだし、このタンパク質が低分子量Gタンパク質のRanとも相互作用することを明らかにしました。カルシニューリンとRanを結合するCaNBP75は、Ca2+カルモジュリンシグナル系と、GTP/GDP-Ranシグナル系を統合する非常にユニークなタンパク質と考えられます。CaNBP75に関する研究から、精巣におけるカルシニューリンの機能が明らかになると期待しています。
代表的な研究業績
Khasnis M, Nakatomi A, Gumpper K, Eto M.
Biochemistry 53(16) 2701-2709 Apr 2014
Hino H, Arimoto K, Yazawa M, Murakami Y, Nakatomi A
Marine biotechnology (New York, N.Y.) 14(4) 479-490 Aug 2012
Nakashima K, Ishida H, Nakatomi A, Yazawa M
Journal of biochemistry 152(1) 27-35 Jul 2012
Kitagawa, Chihiro; Nakatomi, Akiko; Hwang, Dasol; Osaka, Issey; Fujimori, Hiroki; Kawasaki, Hideya; Arakawa, Ryuichi; Murakami, Yota; Ohki, Shinya
BIOPHYSICS 7 35-49 2011
Nakatomi A, Yazawa M
Journal of biochemistry 133(2) 159-164 Feb 2003
学位 | 博士(理学) |
自己紹介 | 東京都出身です。理学部および関連大学院での新教育システムの調査と研究、教育プログラムの立案と運営、アクティブラーニングの講義等を担当しています。また、「物質科学フロンティアを開拓するAmbitiousリーダー育成プログラム」にて、世界の課題解決に貢献するグローバルリーダーを目指す大学院生からの要望等をプログラムに伝える窓口役を担当しています。理学部や大学院進学に関する質問、リーディングプログラムについてなど、お気軽にご相談ください。 |
学歴・職歴 | 1996年 北海道大学理学部化学第二学科卒業 1998年 北海道大学大学院理学研究科化学専攻修士課程修了 2003年 北海道大学大学院理学研究科化学専攻博士後期課程修了 2003年 北海道大学 理学研究科 助手 2006年 北海道大学 大学院先端生命科学研究院 助手 2007年 北海道大学 大学院先端生命科学研究院 助教 2010年 北海道大学 大学院理学研究院 助教 2014年 北海道大学 大学院理学研究院 特任准教授 2019年-現職 |
所属学会 | 日本生化学会, 日本プロテインホスファターゼ研究会 |
プロジェクト | 北海道大学物質科学フロンティアを開拓するAmbitiousリーダー育成プログラム |
居室 | 理学部5号館 5−213室 |