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磁気渦の新しい生成機構を発見磁気渦を情報担体とする磁気記憶素子の実現に期待

理化学研究所(理研)創発物性科学研究センタースピン創発機能研究ユニットの高木 里奈 特別研究員,関真 一郎 ユニットリーダー,強相関物性研究グループの十倉 好紀 グループディレクター,北海道大学大学院理学研究院物理学部門の速水 賢 助教らの国際共同研究グループは,外部磁場がない状態でも磁気渦が生成していることを発見し,その生成機構を解明しました。

本研究成果は、磁気渦を示す物質の探索・設計のための新しい指針を与えるとともに、磁気渦を情報担体とする磁気記憶素子の実現に向けた足掛かりになると期待できます。

磁気構造体を情報担体として利用する磁気記憶素子の高密度化・省電力化に向けて、ナノスケールの磁気渦構造が近年注目を集めています。従来、こうした磁気渦の生成には特殊な対称性の結晶構造と外部磁場が必要であるとされ、物質設計が難しいという問題がありました。

今回、国際共同研究グループは、中性子小角散乱測定により、「Y3Co8Sn4(Y:イットリウム、Co:コバルト、Sn:スズ)」という物質は外部磁場がなくても磁気渦構造を生成していることを発見しました。その起源としては、動き回る電子が媒介する多体の磁気的相互作用に由来した新しい機構によって、磁場がない状況で磁気渦が生成されていることが考えられます。

本研究は、米国のオンライン科学雑誌『Science Advances』(11月16日付け:日本時間11月17日)に掲載されました。

 

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