アルコール・鉄・パン酵母でグリーン水素を製造・貯蔵―資源制約のない水素製造・貯蔵システムの開発に期待―
【ポイント】
- バイオマスから製造でき水素(H2)を高密度に貯蔵できる多価アルコール(注1)を、液体有機水素キャリア(LOHC)(注2)として実証しました。
- 貴金属に比べ安価で資源豊富な鉄イオンとパン酵母を活用した、持続可能な資源からのグリーンH2(注3)製造・貯蔵サイクルを実証しました。
- 本サイクルは、H2供給コストの大幅な削減と地域分散型のH2製造・貯蔵
を可能にすることが期待でき、脱炭素社会の実現に貢献できます。
【概要】
H2は、脱炭素社会の実現に向けたエネルギー源であり、LOHCは、既存の石油化学インフラを活用したH2 の貯蔵・輸送を可能にする技術として注目されています。中でもアルコールは、バイオマスから製造でき、200℃以下の温和な条件でH2を放出できます。しかし、従来提案されてきたイソプロピルアルコール(IPA)などの1価アルコールは、H2貯蔵容量に限界がありました。東北大学 多元物質科学研究所の岡 弘樹 准教授と笠井 均 教授、同大学院工学研究科 バイオ工学専攻の市村 拓弥 大学院生、北海道大学 大学院理学研究院 化学部門 堤 拓朗 助教(研究当時)と佐田 和己 特任教授、九州大学 大学院工学研究院 応用化学部門 松本 崇弘 准教授らの共同研究チームは、多価アルコールに着目し、高密度かつ温和な条件でH2を貯蔵・放出できるLOHC として実証しました。また、従来触媒に比べ圧倒的に安価で資源豊富な鉄イオンとパン酵母を活用した、多価アルコールへのH2貯蔵・放出法を見出し、持続可能なH2製造・貯蔵サイクルを実証しました。本サイクルは、H2供給コストの大幅な削減と地域分散型のH2製造・貯蔵を可能にすることが期待でき、脱炭素社会の実現に貢献できます。
本研究成果は、2026年8月24日付けで、材料科学の専門誌 Journal of Materials Chemistry Aに掲載されました。
【論文情報】
タイトル:Hydrogen Gas Production and Storage Cycle of Polyhydric Alcohols/Polyketones
著者:市村 拓弥、堤 拓朗、佐田 和己、笠井 均、松本 崇弘、岡 弘樹
URL:https://doi.org/10.1039/d6ta03349k
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