研究分野 | 惑星科学, 気象学 |
キーワード | 系外惑星, 惑星大気, 気候, 大気大循環モデル, 数値計算, 生命存在可能性 |
研究紹介
地球・火星・金星など太陽系の中に存在する地球型惑星および太陽系の外に存在する系外惑星における気候に関する数値的研究を行っています。スーパーコンピュータで大気大循環モデルと呼ばれるプログラムを動かすことによって、様々な惑星の大気中に生じる流れ・温度分布・物質分布を調べています。これによって、地球のように生命を育むのに適した温暖温和な気候が実現できる条件は何かを明らかにしようとしています。この研究を通して「地球外に生命は存在するのか」という人類全体に関わる大問題に対する答えを求めることに貢献したいと考えています。
コンピュータシミュレーションで得られた結果のうちの2つを動画にしたものを示します。1つめは同期回転惑星の気候を示したものです。同期回転惑星とは暗い恒星の周囲に存在する自転周期と公転周期が等しい惑星で、ずっと同じ面を恒星に向け続けています。このため日があたり続ける昼半球と決して日が差さない夜半球が存在します。夜半球には日射が無いにもかかわらず、昼半球から熱が大気によって輸送されてきます。このため惑星全体が温まり生命が存在可能な環境が実現されることがわかります。一方、2つめは暴走温室状態にある惑星の気候の動画です。暴走温室状態とは温室効果が非常に強く効くために温度が上昇を続ける状態です。惑星が恒星の近傍にある場合には暴走温室状態が発生し、生命は存在できません。暴走温室状態が発生する条件を明らかにすることにより、恒星の周囲のどの位置に生命が住める惑星が存在するかわかることになります。
代表的な研究業績
Ishiwatari, M., K. Nakajima, S. Takehiro, Y.-Y. Hayashi, 1998: The dependency of the structure of the three-dimensional gray atmosphere on the solar constant and the runaway greenhouse states. Nagare Multimedia (日本流体力学会電子ジャーナル), http://www2.nagare.or.jp/mm/98/ishiwata/index.htm 日本語版は http://www2.nagare.or.jp/mm/98/ishiwata/index_ja.htm
Ishiwatari, M., S. Takehiro, K. Nakajima, Y.-Y. Hayashi, 2002: A numerical study on the appearence of runaway greenhouse state in a three-dimensional gray atmosphere. J. Atmos. Sci., 59, 3223-3238.
Ishiwatari, M., K. Nakajima, S. Takehiro, Y.-Y. Hayashi, 2007: Dependence of equilibrium states of gray atmosphere on solar constant: from the runaway greenhouse to the snowball states. J.Geophys. Res., 112, D13120.
Noda, S., M. Ishiwatari, K. Nakajima, Y.O. Takahashi, S. Takehiro, M. Onishi, G.L. Hashimoto, K. Kuramoto, Y.-Y. Hayashi, 2017: The circulation pattern and day-night heat transport in the atmosphere of a synchronously rotating aquaplanet: dependence on planetary rotation rate. Icarus, 282, 1-18.
Kashimura, H., N. Sugimoto, M. Takagi, Y. Matsuda, W. Ohfuchi, T. Enomoto, K. Nakajima, M. Ishiwatari, T.M. Sato, G.L. Hashimoto, T. Satoh, Y.O. Takahashi, Y.-Y. Hayashi, 2019: Planetary-scale streak structure reproduced in high-resolution simulations of the Venus atmosphere with a low-stability layer. Nature Communications, 10, Article number: 23.
関連産業分野
環境科学, 惑星天文探査
学位 | 博士(理学) |
自己紹介 | 出身は東京で札幌に越してきて 25 年ほどになります。札幌の冬は大変ですが、綺麗な雪景色は大好きです。 |
学歴・職歴 | 1988年 東京大学理学部地球物理学科卒業 1990年 東京大学大学院理学系研究科修士課程修了 1997年 博士(理学)取得 東京大学大学院理学系研究科 1995-2007年 北海道大学大学院地球環境科学研究科・環境科学研究院 助手・助教 2007年- 現職 |
所属学会 | 日本気象学会, 日本惑星科学会, 日本天文学会 |
プロジェクト | 地球流体電脳倶楽部 |
居室 | 理学部8号館 8-205号室 |