研究者情報

荻原 克益

准教授

OGIWARA Katsueki

脊椎動物の卵巣機能の解明

生物科学部門 生殖発生生物学分野

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研究テーマ

脊椎動物の卵巣機能、特に卵の形成、成熟、排卵、排卵後の組織修復の分子機構を分子生物学的、内分泌学的、そして生化学的アプローチを用いて解明する。

研究分野生殖生物学, 生化学, 分子生物学, 内分泌学
キーワードマウス, メダカ, 卵巣, 排卵, 濾胞, 濾胞選択, ホルモン, タンパク質分解酵素

研究紹介

私たちの研究室では脊椎動物の生殖に関する研究を行っています。特に、卵巣の機能に関連する未解明の問題に取り組んでおり、現在は卵の形成過程や成熟、排卵、排卵後の組織修復機構に関する研究課題に取り組んでいます。
 脊椎動物の卵巣では、卵は体細胞からなる濾胞細胞層に包まれて成長・成熟し、ついには排卵されます。排卵後の濾胞組織は、種によって速度は異なるものの、最終的には分解され消失します(図1)。このような一連のプロセスがどのような機構により進行するのかということについては、解明されていない点が多く残されています。私たちの研究室ではこれらの課題について、マウスおよびメダカ卵巣を用いて研究を行っています。メダカではin vitro排卵実験系という排卵研究に適した培養系を用いて研究を行うことが可能です。排卵を控えたメダカ卵巣全体、あるいは卵巣から摘出した濾胞を培養することで排卵を再現することができます(図2、3)。実際、この実験系を利用することによって、排卵に不可欠な溶解酵素(排卵酵素)の同定と排卵実行のプロセスの概要が明らかになりました。脊椎動物で唯一排卵酵素の正体が明らかになったメダカを用いることにより、これまで解決困難であった未解明課題(排卵酵素が不明であったため解明できなかった課題)に取り組める基盤が整いました。そこで、現在はこれに続く発展的研究および関連研究に取り組んでおります。また、現在においても同定されていない哺乳類(マウス)の排卵酵素の同定や濾胞選択の分子機構の解明にも取り組んでいます(図4)。研究課題の詳細については、研究室のHPをご覧下さい。

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代表的な研究業績

Gelatinase A and membrane-type matrix metalloproteinases 1 and 2 are responsible for follicle rupture during ovulation in the medaka, K. Ogiwara, N. Takano, M. Shinohara, M. Murakami, T. Takahashi, Proc Natl Acad Sci USA, 2005, 102, 8442-8447.
Specificity of the medaka enteropeptidase serine protease and its usefulness as a biotechnological tool for fusion-protein cleavage, K. Ogiwara, T. Takahashi, Proc Natl Acad Sci USA, 2007, 104, 7021-7026.
Apparent involvement of plasmin in early-stage follicle rupture during ovulation in medak, K. Ogiwara, K. Minagawa, N. Takano, T. Kageyama, T. Takahashi, Biol. Reprod. 2012, 86(4) 113, 1-10.
The role of urokinase plasminogen activator and plasminogen activator inhibitor-1 in follicle rupture during ovulation in the teleost medaka, K. Ogiwara, A. Hagiwara, S. RajapakseT. Takahashi, Biol. Reprod. 2015, 92(1), 10.
A Dual Role for Melatonin in Medaka Ovulation: Ensuring Prostaglandin Synthesis and Actin Cytoskeleton Rearrangement in Follicular Cells, K. Ogiwara, T. Takahashi, Biol. Reprod. 2015, 94(3) ,64.
学位博士(理学)
学歴・職歴2000年 北海道大学理学部生物科学科(生物) 卒業
2002年 北海道大学大学院理学研究科生物科学専攻 修士課程修了
2005年 北海道大学大学院理学研究科生物科学専攻 博士後期課程修了
2005-2016年 北海道大学大学院理学研究院・助手/助教
2016年- 現職
所属学会日本動物学会, 日本比較内分泌学会
居室理学部5号館 5-1106号室