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速水賢准教授の論文が、論文誌JPSJ「the Most Cited Articles in 2023」選出されました(2)

速水賢准教授の以下の論文が論文誌Journal of the Physical Society of Japan(JPSJ)の「the Most Cited Articles in 2023」に選出されました。

【論文情報】
Electric Ferro-Axial Moment as Nanometric Rotator and Source of Longitudinal Spin Current
Satoru HayamiRikuto Oiwa, and Hiroaki Kusunose
J. Phys. Soc. Jpn. 91, 113702 (2022)
https://doi.org/10.7566/JPSJ.91.113702

この論文は、電気双極子や磁気双極子とは異なる新しい種類の双極子から構成される「フェロアキシャル秩序」という電子相が示す新規物性現象を報告したものです。フェロアキシャル秩序は、時間反転対称性および空間反転対称性の破れを伴わないことから、これらの破れを伴う磁性や誘電性とは質的に異なる秩序状態であり、最近になってCaMn7O12、 RbFe(MoO4)2、 NiTiO3、 Ca5Ir3O12などの物質において実験的に観測されました。一方、時間・空間反転対称性の破れを伴わないフェロアキシャルモーメントは電磁場と直接結合しないため、それらがどのような物性を示すか、十分に理解されていませんでした。速水准教授らは、フェロアキシャルモーメントのもとで発現する物性現象をマクロな対称性およびミクロな多極子基底の観点から整理することで、種々の非対角応答現象を明らかにしました。さらに、結晶場やスピン軌道相互作用の効果を取り込んだ模型を解析することで、フェロアキシャル秩序下で外部電場を印加すると、その平行方向にスピン流が生成されるという新しい伝導現象を見出しました。今回の研究で得られた成果として、従来とは異なる機構のスピン流生成が可能であることが示されたことから、新しいスピントロニクス材料としての応用が期待されます。