2025年7月16日、北海道大学大学院理学院 優秀研究奨励賞の授賞式が執り行われました。今年度は数学専攻6名、物性物理学専攻2名、自然史科学専攻12名の計20名が本賞を受賞しました。
会場となったのは90年の歴史がある理学部本館大会議室です。20名の受賞院生(8名欠席)に対し、久保英夫理学院長が祝辞を述べた後、一人一人に賞状が手渡されました。
久保英夫理学院長からの祝辞
皆さん、理学院優秀研究奨励賞のご受賞、誠におめでとうございます。
今日、この場にいらっしゃる皆さんは、理学という広く深い研究領域に果敢に挑み、日々、研鑽を重ね、自らの力量を高めてこられたものと思います。勿論、本日、ご都合が合わず、ご欠席となられた受賞者もそうだと思います。
研究とは、時に孤独で、困難な道を歩むようなものです。本奨励賞は、自律的に研究計画を立案し、優れた理学的研究を推進する者を表彰し、以て、研究活動の更なるステップアップを促すことを目的として設置されました。つまり、困難な道を進む博士課程学生の道標となることを意図したものであります。
皆さんは、粘り強く、一歩一歩前へと進み、自立した研究者としての自覚を養ってこられました。皆さんの弛まぬ努力と未知なるものへの知的好奇心が、理学の未来を切り拓く鍵となり、持続可能な社会の実現へと導いてくれるものと信じています。今後も、理学で培った「自ら学びを深める力」を大切にし、周りの方々への感謝の念を忘れずに、自分自身が進むべき道を、臆することなく突き進んで頂ければと思います。
改めまして、心からお祝い申し上げます。本日は、誠におめでとうございました。
令和7年度 理学院優秀研究奨励賞受賞者リスト
受賞者名 | 専攻等 | 研究題目 |
上野 龍 | 数学専攻 | 統計2重調和写像と中心アファイン幾何学 |
嘉陽 海渡 | 数学専攻 | 計量の退化を許容する統計多様体とその応用 |
岸本 勇太 | 数学専攻 | リザバーコンピューティングに基づくてんかん発作予測 |
長峰 実央 | 数学専攻 | A-超幾何微分方程式系の研究 |
松川 寿人 | 数学専攻 | 連続 K 理論のトレース法 |
本橋 樹 | 数学専攻 | 反応拡散系による形状固定数理モデルの構築とその解析 |
印田 朱音 | 物性物理学専攻 | 電気トロイダル単極子を指標としたキラリティの微視的理解と定量的評価 |
瀧口 由宇 | 物性物理学専攻 | 個人の考えの偏りを考慮した言説拡散の数理モデルの構築と解析 |
石丸 雄理 |
自然史科学専攻 地球惑星ダイナミクス講座 |
地震間ひずみ速度場に含まれる非弾性変形の解明:内陸地震発生予測の高精度化に向けて |
東 祐大 |
自然史科学専攻 地球惑星システム科学講座 |
脊椎動物との共進化が導いた骨食性多毛類の適応進化:化石と実験からのアプローチ |
川本 一陽 |
自然史科学専攻 地球惑星システム科学講座 |
ペンギン型鳥類の特殊化した潜水様式の進化史の解明 |
多久和 隼 |
自然史科学専攻 地球惑星システム科学講座 |
竜脚類における頚部の進化:四肢のゲージ幅が頚部にもたらす影響 |
星 恒太郎 |
自然史科学専攻 地球惑星システム科学講座 |
新規の珪藻由来分子化石を用いた北太平洋の新第三紀古海洋変動の復元 |
向井 一勝 |
自然史科学専攻 地球惑星システム科学講座 |
メイオベントス化石から迫る日本列島における生物相形成と進化 |
矢野 滉紀 |
自然史科学専攻 地球惑星システム科学講座 |
中生代型植物群分子化石の解明による前期白亜紀東アジア縁辺域の古植生変動復元 |
榛沢 日菜子 |
自然史科学専攻 多様性生物学講座 |
鳥類の隠蔽的な体色の進化機序の解明 |
松島 吉伸 |
自然史科学専攻 多様性生物学講座 |
自由生活性甲殻類で稀有な性表現である同時的雌雄同体の成因解明 |
RIEWLUANG SIRATEE |
自然史科学専攻 多様性生物学講座 |
無腸類と微細藻類の多様性と共生関係の探究 |
佐藤 公亮 |
自然史科学専攻 科学コミュニケーション講座 |
情報概念として捉えたエンテレヒーの再解釈と、有機体論による唯物論との包摂 |
保苅 健陽 |
自然史科学専攻 地震学火山学講座 |
ドローン空中観測+数値実験に基づく火山地域の斜面崩壊の量的予測に向けた研究 |