多様性生物学講座III 高木研究室の学生が日本鳥学会ポスター賞を受賞

2021年9月30日

自然史科学専攻・多様性生物学講座III 高木昌興教授の研究室からの受賞のニュース、4件目です。

昨年度、髙木研究室において博士学位を取得した澤田明さん(国立環境研究所・学振PD)が、日本鳥学会2021年度大会でポスター賞「繁殖・生活史・個体群・群集」を受賞しました。

ポスタータイトル・著者:メスの生存が南大東島のリュウキュウコノハズク個体群の運命を左右する

○澤田明 (国環研・学振 PD)・岩崎哲也・井上千歳・中岡香奈・中西啄実・澤田純平・ 麻生成美(大阪市大・理)・永井秀弥・小野遥・高木昌興 (北大・理)

要旨:フクロウは高次捕食者としてしばしば保全の対象とされる。しかし、フクロウ科の大半を占める熱帯や亜熱帯の種は、特定地域や島の固有種であり保全の必要性が高いにもかかわらず、保全対象としてあまり注目されない。我々はこうした種の研究事例として、南大東島のリュウキュウコノハズクの個体群動態を解析した。2012 年から 2018 年の間に 2526 個体から生存履歴、繁殖成績、性別、縄張り情報のデータを取得した。これらを統合個体群モデルで解析した結果、個体数はオスが297 個体、メスが273 個体と推定された。個体 群成長率(ある年の個体数/前年の個体数)は 0.98 と推定され、個体数の減少が確認された。メスの年間生存率の低下は個体群成長率の低下をもたらすことも示され、メスの死亡が個体数変動に影響することが示された。人為移入されたネコやイタチによる繁殖中のメスの捕食が、個体群に悪影響を与えていると考えられる。本研究は非温帯域のフクロウ研 究としては最も詳しい個体群動態の基礎データを提示しており、世界のフクロウ保護に貢献するものである。

本研究はPopulation Ecology 誌にすでに公表されています。
https://esj-journals.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/1438-390X.12080