移動能力に長けた鳥の種分化機構を解明するのは生態学である
高木 昌興教授/MASAOKI, Takagi
多様性生物学・進化学系
鳥類は1万余種という種多様性を持っています。 大小様々な島から構成される日本列島には、未だ認識されていない進化的な単位が、他地域よりも多いことが分かってきました。鳥類の多様化が進んでいる日本列島において、局所適応、近親交配、種間相互作用、配偶者選択などをキーワードとした生態学的な観点から、鳥類の種分化機構について探索しています。
鳥類は1万余種という種多様性を持ち、単なる地理的な隔離だけではその種分化の理由を説明できない程多くの近縁種や亜種が生息しています。大小様々な島から構成される日本列島には、未だ認識されていない進化的な単位が、他地域よりも多いことが分かってきました。南西諸島の小島嶼は、進化生物学的視点から非常に有用な素材を提供します。卓越した移動能力を持ち、地理的障壁が隔離に機能し難い鳥類では、特に局所適応、近親交配、種間相互作用、配偶者選択などの生態学的な観点が重要になります。私たちは音響学、分子生物学、地理情報システムなどを用い、多面的に研究を展開しています。それはそれとして、最も重要なことは、自分でフィールドを歩き、対象種をじっくり観察することです。研究の流行に遅れずとも流されず、100年後にも価値あるデータの蓄積に努めたいと考えています。
参考文献
- 高木昌興 (2007)「鳥類の保全の単位としての種と亜種−生態学的側面からの考察−」『保全鳥類学』 (編著)山岸哲. 京都大学出版会(分担執筆)
- 高木昌興 (2007)「島々に生きるリュウキュウコノハズク」『フクロウ−その生態と行動の神秘を解き明かす』 文一総合出版. 東京.(分担執筆)
近親交配回避
近親交配には近交弱勢を伴うことが多く、血縁者を回避して配偶することが、適応度を下げないために重要である。(高木昌興)
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