加藤 徹准教授/KATOH, Toru
ショウジョウバエ、チョウ、およびマダラテントウ類といった昆虫を主な研究対象とし、DNAの遺伝的変異を指標に種の類縁関係や集団の歴史を探る、といったタイプの研究を行なっています。昆虫は、我々が現在認識している生物種全体の半分以上の割合を占めていると言われています。従って、彼らの進化の道筋を解明することで、自然界における生物多様性の起源の相当部分を説明できるようになるのではないかと期待しています。
学部生の頃に生物進化の問題に興味を持ち、それ以来、生物進化に関わるテーマの研究をずっと行なっています。ここ最近、巷では生物多様性の重要性が繰り返し指摘されていることから、その源となる生物進化の研究は今後ますます注目され、重要な位置を占めるようになると確信しています。
参考文献
- 木村資生著 生物進化を考える 岩波新書 1988年
- 低温科学 第69巻 「生物進化研究のモデル生物群としてのショウジョウバエ」 北海道大学低温科学研究所 2011年
昆虫
全生物種の半数以上を占め、最も成功し繁栄しているグループです。体は頭・胸・腹に分かれており、胸には脚と翅があります(翅のないものや退化したものあり)。種類が多く、極地から熱帯、地中・地上・水中など様々な環境に適応し多様化しています。(滝谷重治)
我々が現在認識している生物種全体の半分以上の割合を占める多様な生物群です。彼らの進化の道筋を解明することは、自然界における生物多様性の起源の相当部分を説明すると期待されます。(加藤徹)
昆虫の種数は全動物種の2/3に及びます。昆虫は地球上で最も繁栄している動物群です。私は、その繁栄の秘密の一端は、小さくても精妙なその脳の働きにあると考えています。(水波誠)
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集団遺伝学
生物集団が全体として持っている(対立)遺伝子の種類やその出現頻度は、周囲の環境や個体数に影響されながら刻々と変化しています。その実態を明らかにしようとする学問分野です。(増田隆一)
生物集団における遺伝子の多様性の成り立ちを研究する遺伝学の一分野です。分子生物学の発達によって集団の遺伝的変異を分子レベルで解析できるようになり、急速に発展した研究分野です。(加藤徹)
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分子系統学
生物の進化の過程で、DNAは一定の速度で変化してきたという考え方に基づいて、DNAの遺伝情報の違いを見出し、生物がたどって来た系統や歴史をたどる学問分野です。DNAの塩基配列の違いが少ないほど、近縁関係にあると考えることができます。(増田隆一)
DNAやタンパクの遺伝的変異をもとに、系統樹と呼ばれる二分岐の樹木状の図を構築し、生物の進化関係を推定します。系統樹の枝分かれ部分は祖先からの分岐を表し、枝の長さは分岐後の時間あるいは形質進化の程度を表します。(加藤徹)
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