研究動画

ヒモムシ

ヒモムシの体内には消化管の背側に沿って円筒状の腔所があり、体の前端部からその腔所に向かって皮膚が落ちくぼんで出来た「吻」と呼ばれる筒状の器官が備わっている。ヒモムシは腔所内部の圧力を高めることで前端の開口部から吻を反転突出させることが出来る。多くの場合吻の上皮には毒を分泌する腺細胞が発達しており、神経毒によって獲物を麻痺させて捕食する。吻は敵からの防御にも使われる(動画では物理的な刺激を与えている)。動画のゴルゴンヒモムシ属では吻が分岐しており、この構造と機能を抽出してロボット機構の開発に拡張させる研究が科研費新学術領域「ソフトロボット学」の支援を受けて多田隈建二郎博士(東北大学)・山崎剛史博士(山階鳥類研究所)との共同研究によって進められている。動画のヒモムシは柁原研究室で平成30年度学位取得後に国立極地研究所において日本学術振興会特別研究員(PD)として研究を継続している自見直人博士によって沖縄で採集された。動画は髙橋知也氏(多田隈研M1)・波々伯部夏美氏(柁原研M2)らの協力によって2019年5月に撮影された(文責・柁原宏)。