吉田 磨仁助手/YOSHIDA, Kiyohito
長鎖多価不飽和脂肪酸(LC-PUFA)の、より普遍的で新しい生理機能を見出し、その分子機構の解明を目指しています。さらに、LC-PUFAは人や動物の栄養素として重要な働きをもつ物質であり、その生産の効率化を図るための実用的な研究も行っています。
DHAなどの多価不飽和脂肪酸は、ヒトの健康にとって重要な働きをしていますが、自ら十分に合成することができないため、魚貝類から摂取しなければなりません。しかしながら、近年の気候変動の影響により、漁業資源は不安定化してきています。魚貝類に多く含まれているDHAも実は、元々藻類などの海産微生物が合成したものです。
長鎖多価不飽和脂肪酸を合成する微生物をじょうずに利用して、魚貝類に頼ることなくDHAを摂取できるようにしたい。これが私の研究のモチベーションになっています。
参考文献
- Yoshida, Kiyohito, Mikako Hashimoto, Ryuji Hori, Takumi Adachi, Hidetoshi Okuyama, Yoshitake Orikasa, Tadashi Nagamine, Satoru Shimizu, Akio Ueno, and Naoki Morita. “Bacterial Long-Chain Polyunsaturated Fatty Acids: Their Biosynthetic Genes, Functions, and Practical Use.” Marine Drugs 14, no. 5 (May 2016): 94.(https://doi.org/10.3390/md14050094)
ゲノム
ある生物が持つ遺伝情報全体をゲノムと呼び、細胞の核に含まれる染色体DNAのすべてを指します。ゲノムには、タンパク質をコードするための情報を持つ部分、機能的RNAをコードする部分、およびそれらの発現を調節する部分以外に、機能が不明な部分も存在しジャンクDNAと呼ばれています。(加藤敦之)
それぞれの生物が持っている全遺伝情報、言い換えると、細胞が持っている全DNAがゲノムです。これによって生物の形や性質、発生が制御されています。1個の受精卵から細胞分裂で生じた体のすべての細胞は、特殊な例外を除いて受精卵にあったのと同じすべての遺伝情報を持っています。
ある生物が生きていくうえで必要とするすべての情報を含んだDNAの1セットのこと。高等生物の場合その大部分は遺伝子としての働きを持たない領域であり、近年その役割が注目され始めている。(木村敦)
生物の発生、成長、生殖など生物が生きていくために必要とする遺伝情報の全て。あるいは、染色体に含まれる全塩基配列。(吉田磨仁)
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藻類
陸上植物(コケ、シダ、種子植物)以外の光合成生物を指します。海藻類や植物プランクトンなどを含みます。ただし、藻類は系統的には大変多様で、例えば褐藻類と緑藻類はどちらも葉緑体をもつ「植物」ですが、進化的には全く異なる仲間です。(堀口健雄)
水中を主な生育場所とする光合成生物です。ミドリムシ、ボルボックス、珪藻、アマノリ、アオノリ、コンブなど、さまざまな生物が藻類に含まれます。地球生態系を底辺で支え、生物進化に大きな影響をおよぼしてきた藻類の研究は、現在とても注目されてきています。(小亀一弘)
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転移因子
ゲノム上のある部分から別の部分へと移動することのできるDNA配列で、バクテリアからヒトに至るまで、これまでに調べられた生物すべてから見つかっています。転移因子がゲノムに占める割合は、ヒトでは45%にも達し、植物の中には90%以上が転移因子で占められている種もあります。(吉田磨仁)
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微生物
肉眼では観察できないような微小生物の総称です。原核生物はすべて微生物であり、真核生物でも単細胞性の藻類や菌類および原生動物などは微生物に含められることが多い。ただし、ウィルスについては議論があり、自己増殖できないことから生物としない場合もあります。(森川正章)
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分子生物学
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