教員

分化から未分化へ

吉田 郁也助教/YOSHIDA, Ikuya

生殖発生生物学系
研究分野
細胞遺伝学
研究テーマ
不活性X染色体の再活性化機構

哺乳類雌の初期胚では2本のX染色体のうち一方がヘテロクロマチン化され不活性X染色体(Xi)になります。いったん確立したXiは細胞分裂を通じてその状態を維持し続け活性状態に戻ることはありません。ところがXiは雌胚で出現した始原生殖細胞が生殖巣原基に移動する間にいとも簡単に再活性化されてしまうのです。我々は再活性化を培養下で再現できるEC細胞などの幹細胞を用いて、再活性化の分子機構を明らかにしようとしています。哺乳類発生の根幹に関わる再プログラム化と再活性化とは何らかの分子的基盤を共有していると予想されるため、再活性化の機構解明は再プログラム化の理解にもつながる可能性があると考えています。

メッセージ

培養シャーレの中で継代されている細胞はごく小さく何の変哲もないものですが、その中で起きている現象はきわめて複雑かつ精妙であるといえます。古いものから新しいものまで様々な手法を用いて精妙な生命現象の仕組みを明らかにしたいと考えています。

参考文献

  • 「臨床染色体診断法」 古庄敏行編 金原出版: 38-47 1996

EC細胞

胚性腫瘍(Embryonal Carcinoma)細胞はテラトカルシノーマとよばれる悪性腫瘍から単離された細胞株で、幹細胞の性質を持っています。様々な組織細胞に分化する能力や方向性が細胞株によって大きく異なることが特徴です。(吉田郁也)

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幹細胞

特定の組織細胞に分化できる未分化細胞を幹細胞と呼びます。幹細胞が細胞分裂すると、親細胞と同じ幹細胞と分化した細胞が作られるため、分裂を繰り返すことで幹細胞を残しつつ分化細胞の産出が可能となります。胚性幹細胞のように分裂して2つの幹細胞が作られる場合もあります。(吉田郁也)

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プログラム

哺乳類の発生初期や始原生殖細胞形成期に、染色体上に付加された様々な“しるし”を消去し、あらたに書き換える過程を再プログラム化と呼びます。この過程を経ることで正常な胚発生の進行や生殖細胞の形成が行われると考えられています。(吉田郁也)

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不活性X染色体

哺乳類雌の体細胞にある2本のX染色体のうち、ヘテロクロマチン化して遺伝的活性を失ったものを不活性X染色体(Xi)と呼びます。Xiは体細胞分裂を通じて安定に維持されますが、始原生殖細胞形成時にヘテロクロマチンは解除されてXiの再活性化が起こります。(吉田郁也)

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ヘテロクロマチン

染色体が娘細胞に分配されると凝縮していた染色体DNAの大半はほどけて判別できなくなりますが、この時期にまだ凝縮している染色体領域をヘテロクロマチンと呼びます。遺伝的に不活性な領域で、染色体構造・機能の維持に重要と考えられています。(吉田郁也)

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所属研究院

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