教員

「知性」はなぜ進化したのか?

相馬 雅代准教授/SOMA, Masayo

行動神経生物学系
研究分野
行動生態学・比較認知科学
研究テーマ
動物の高次認知機能の進化

なぜ私たちは特定の人を好きになり伴侶とするのでしょう?恋人にはどのようにアプローチしますか?もうける子の数はどのように決まりますか?息子と娘どちらが欲しいでしょうか?どのような時、兄弟喧嘩をしますか?これらの行動には当然、個別に状況依存的な要因が関わっているはずですが、より広い視点から生物学の問題として捉えた時、仮説検証の俎上にのせることの出来る命題がさまざまにみえてきます。とりわけ、上に挙げたような社会行動は、ヒトを含む動物がどのような社会生活を営んでおり、それを支える認知能力はなぜどのように進化したのかを考える上で鍵となるものです。

私たちは、スズメ目(鳴禽類)カエデチョウ科の鳥種を対象に研究を行っています。鳥は、ヒトとは系統的に隔たっていますが、親が育雛へ寄与し家族生活が営まれる点や、その社会の複雑さ、発声を社会学習によって獲得する能力など、比較対照可能な興味深い特性を呈します。具体的には、歌行動、求愛ディスプレイ行動、母鳥の繁殖戦略、母性効果、兄弟間競争などに焦点をあて、行動の機能と進化を、個体発生と生活史の観点から考察しようとしています。

▲ジュウシマツの卵
▲ジュウシマツの発達

メッセージ

生物学を志すとき、ドブジャンスキ―の以下の言葉をいつもおぼえていたいものです。
“Nothing in biology makes sense except in the light of evolution”— T. Dobzhansky

家族関係

とりわけ親による育児・育雛がみられる動物では、家族間に複雑な関係が生じます。つがい間・兄弟間・親子間において、協力関係のみが生じることは稀であり、様々な駆け引きがみられることも多くあります。Family conflictやsibling competitionといった言葉に表されるように、血縁および家族関係というのは、時に葛藤をはらむ過酷なものにもなりえ、極端な例としては子殺しや兄弟殺しといった帰結も招きます。このような中で、個体はどのように適応的にふるまっているのでしょうか?(相馬雅代)

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生活史

鳥を例にとれば、個体は、孵化し、親の給餌や世話を受けながら成長し、配偶相手をみつけて繁殖・育雛する、という生活史環を経て、次の世代へと交代していきます。が、この過程で経験されるさまざまな要因が個体の行動に影響を与えます。(相馬雅代)

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性的二型

雌雄間において、形態や行動に差異がみられること。ヒトでいえば、声変わりの有無、平均身長の差などもこれにあたる。鳥では、歌行動や装飾的な形態形質などにみられることが多い。(相馬雅代)

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性淘汰

動物の示す特性は、多くの場合、採餌や捕食回避といった生存に役立つ機能を持っています。しかしその一方で、直接生存には役立つかどうかわからないような、鳥の飾り羽やカエルの鳴き声といった形質もあります。このような形質は、繁殖に有利になるために性淘汰によって進化したと考えられており、同性内性淘汰(同性間での繁殖をめぐる競争に有利さをもたらす淘汰)あるいは異性間性淘汰(異性との配偶に有利さをもたらす淘汰)によって説明できます。性淘汰圧によって進化した形質には、しばしば性的二型性(雌雄の差異)がみられます。(相馬雅代)

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北海道大学理学部生物学科行動神経生物学系 相馬研究室 北海道大学大学院生命科学院生命システム科学コース 相馬研究室

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TEL: 011-706-2995

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