受精の不思議
水島 秀成助教/MIZUSHIMA, Shusei
生殖発生生物学系
決して珍しいものでは有りませんが、鳥類の受精では一つの卵に数十個の精子が侵入します。このような現象を多精受精と呼びます。私たちは、鳥類の胚発生の開始に、複数の精子による刺激が必要であることを突き止めてきました。しかしながら、卵内では、受精に関与しない精子も沢山含まれています。これらの精子はどのようにして選別されるのかなど、鳥類の多精受精には、まだまだミステリアスな部分が多く残されています。それらの全容解明を目指しています。また受精システムを利用したゲノム編集技術を立ち上げ、雌鶏の性決定機構の解明を進めたいと考えています。
鶏の卵は、世界中で消費されているだけでなく、有益な物質を溜め込むバイオリアクターとしても有益な材料です。このシステムを利用してヒトに役立つ何かを考えてみませんか?
参考文献
- izushima S, Hiyama G, Shiba K, Inaba K, Dohra H, Ono T, Shimada K, Sasanami T. The birth of quail chicks after intracytoplasmic sperm injection. Development 2014;141:3799–3806.
- Mizushima S. Establishment of intracytoplasmic sperm injection technique in Japanese quail and its possible application for poultry resources and transgenic birds. J. Poult. Sci. 2012; 49:225.
ゲノム科学
ゲノム(genome)という言葉は、「遺伝子(gene)」と「あるもの全体(ome)」という単語からなる造語です。文字通り「ある生物がもつ遺伝子の全体(像)」という意味です。ですから、ゲノムは生物そのものの特徴・個性を正確に表しています。(山口淳二)
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性決定
オスとメスが別個体でいる生物では、性を決める必要があります。生物によっては、環境によって性が決まるものと、遺伝子によって性が決まるものがいます。(黒岩麻里)
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多精受精
受精では、1つの卵核と1つの精子核が融合する。ほとんどの脊椎動物では1つの卵内に1個の精子のみ侵入するが、鳥類、爬虫類、有尾両生類では、1つの卵内に複数の精子が侵入する。後者の受精様式を多精受精と言う。複数の精子が侵入しても、卵核と融合する精子核は1つのみである。(水島秀成)
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