増田 隆一教授/MASUDA, Ryuichi
私たちは、日本列島やユーラシア大陸に分布する哺乳類の分子系統進化学や集団遺伝学に取り組んでいます。たとえば、ヒグマがいつ、どのようなルートで北海道へ渡来し、どれ程の遺伝的多様性をもっているかを探究しています。また、古代DNA解析とともに、クマ送り儀礼など北海道古来の文化や自然史を学際的に研究しています。
私たちの研究室では、ヒグマやエゾシカのような身近な野生哺乳類の多様性や進化を遺伝子のレベルから調べています。さらに、北海道に伝わる文化と動物の関係を解き明かす研究にも取り組んでいます。これらの研究は、卒業研究や大学院のテーマにもなっています。動物の進化、多様性、自然史の研究に興味をもった皆さんは研究室を訪ねてみてください。
参考文献
- 『ユーラシア動物紀行』増田隆一 著、岩波新書、2019年.
- 『哺乳類の生物地理学』増田隆一 著、東京大学出版会、2017年.
- 『日本の食肉類:生態系の頂点に立つ哺乳類』増田隆一 編、東京大学出版会,2018年.
- 『ヒグマ学入門』天野哲也・増田隆一・間野勉 編著、北海道大学出版会、2006年.
- 『動物地理の自然史』増田隆一・阿部永 編著、北海道大学出版会、2005年.
古代DNA
遺跡から出土した動物骨や化石に残っているDNAを取り出し、その遺伝情報を解読することにより、マンモスなど絶滅種の進化、縄文時代のヒトや動物集団から現代集団への変遷の歴史などを明らかにすることができます。(増田隆一)
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集団遺伝学
生物集団が全体として持っている(対立)遺伝子の種類やその出現頻度は、周囲の環境や個体数に影響されながら刻々と変化しています。その実態を明らかにしようとする学問分野です。(増田隆一)
生物集団における遺伝子の多様性の成り立ちを研究する遺伝学の一分野です。分子生物学の発達によって集団の遺伝的変異を分子レベルで解析できるようになり、急速に発展した研究分野です。(加藤徹)
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生物地理学
古典的にはどのような生物がどこに分布しているかを調べる平面的な学問でしたが、現在では分子系統学を導入することにより、時間の流れも含めて考えることができるようになっています。(増田隆一)
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ヒグマ学
ヒグマを通して北海道の自然史、歴史、現代社会のあり方などを考える新しい創成的な学問分野です。(増田隆一)
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分子系統学
生物の進化の過程で、DNAは一定の速度で変化してきたという考え方に基づいて、DNAの遺伝情報の違いを見出し、生物がたどって来た系統や歴史をたどる学問分野です。DNAの塩基配列の違いが少ないほど、近縁関係にあると考えることができます。(増田隆一)
DNAやタンパクの遺伝的変異をもとに、系統樹と呼ばれる二分岐の樹木状の図を構築し、生物の進化関係を推定します。系統樹の枝分かれ部分は祖先からの分岐を表し、枝の長さは分岐後の時間あるいは形質進化の程度を表します。(加藤徹)
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