教員

自分の研究が科学の基礎となれ!

伊藤 秀臣准教授/ITO, Hidetaka

形態機能学系
研究分野
分子遺伝学
研究テーマ
植物における動く遺伝子トランスポゾンの制御機構

多くの生物種に存在するトランスポゾンは近年生物学的な重要性が明らかになってきました。ヘテロクロマチンに複数存在するトランスポゾン配列はゲノムの安定性に関わっていると考えられています。また、遺伝子の近傍に挿入されたトランスポゾンはその遺伝子の発現をコントロールするという報告もあります。トランスポゾンの多くは通常DNAのメチル化やヒストン修飾などにより活性が抑制された状態にありますが、ある条件下では抑制が解除され転写、転移が活性化します。私はシロイヌナズナを材料にトランスポゾンがどのような環境下で活性化するのかということに興味を持って研究を行っています。

メッセージ

トランスポゾンは植物で初めて報告され1983年にノーベル生理学・医学賞に輝いた重要な発見です。現在トランスポゾンはほとんどの生物種に存在し以前にもまして注目される因子となってきました。多くの種でゲノム情報が解読された今、トランスポゾンの発現制御や転移制御に関わる多くの興味深い報告がなされています。ゲノム構造を変化させ種の進化に大きな役割をもつであろうトランスポゾンは生物が生き伸びていく上で獲得した巧妙な手段なのかもしれません。

参考文献

  • 実験医学 2007年10月号 Vol.25 No.16 ゲノム上を“動く遺伝子”トランスポゾン エピジェネティクス・クロマチン動態との関連性から発生・生殖を司る機能まで
  • Evolution of the ONSEN retrotransposon family activated upon heat stress in Brassicaceae. Ito H, Yoshida T, Tsukahara S, Kawabe A. Gene 2013 518:256-261.
  • The effects of heat induction and the siRNA biogenesis pathway on the transgenerational transposition of ONSEN, a copia-like retrotransposon in Arabidopsis thaliana. Matsunaga W, Kobayashi A, Kato A, Ito H. Plant & Cell Physiology. 2012 53(5):824-833.
  • Small RNAs and transposon silencing in plants. Ito H. Development, Growth & Differentiation. 2012 54(1):100-107.
  • An siRNA pathway prevents transgenerational retrotransposition in plants subjected to stress. Ito H, Gaubert H, Bucher E, Mirouze M, Vaillant I, Paszkowski J. Nature. 2011 472:115-119.
  •   環境ストレスとゲノム進化
    伊藤秀臣. 化学と生物 2013 Sep;51(9):603-608
  • 小分子RNAと世代間シグナル
    伊藤秀臣.実験医学増刊. 2013 May;31(7):225-230

核型進化

真核生物は、種に特有の染色体の数と形をもち、これを核型といいます。生物がもつ核型は、長い進化の過程で染色体の倍加や様々な構造の変化の結果、できあがりました。染色体を構成するDNAや遺伝子を指標にすれば、その変化の過程を追うことができます。

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環境ストレス

植物は動物のように移動することができません。そのため環境ストレスに対する様々な適応機構を獲得してきました。(伊藤秀臣)

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後天的遺伝

DNA配列の変化を伴わず後天的な作用により変異が生じること。DNA塩基のメチル化やヒストン修飾による遺伝子の発現変化があげられます。後天的遺伝機構は生物の発生段階での遺伝子発現の調節やストレス応答など重要な働きをしています。(伊藤秀臣)

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トランスポゾン

トランスポゾンは生物のゲノム内を転移することができる要素でほとんどの生物種に存在します。従来トランスポゾンは宿主に寄生するDNAと考えられてきましたが近年宿主ゲノムにとってより多くの役割を担っていることがわかってきました。(伊藤秀臣)

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