教員

表現型はどのように作られるのか、どのように進化してきたのか

越川 滋行准教授/KOSHIKAWA, Shigeyuki

生態遺伝学系
研究分野
進化発生生物学
研究テーマ
昆虫の表現型が形成されるメカニズムの研究とその種間差の比較を通じた進化史の解明

生き物の形や生活様式に見られる多様性は、どのように生じてきたのでしょうか?その原理を突き詰めて考えるためには、実験に適した生物を材料にする必要があります。ショウジョウバエは、形態や模様、生活史の多様性と、実験操作のしやすさを兼ね備えた生物です。翅に模様を持つショウジョウバエの種を用いて、遺伝子発現の解析だけでなく、遺伝子導入や、ゲノム編集による遺伝子改変なども用いて、模様がどのように作られ、進化してきたのかを明らかにしようとしています。ショウジョウバエの生活史から、遺伝子発現の制御とその進化までに及ぶ総合的な理解を目指します。

メッセージ

科学者は、これまでにない、新しい考え方を見つけ、提示しなければなりません。誰も思いついたことのないアイデアを得るには、自然を観察するのが一番です。実験室で生物に向き合い深く考えること、野外で生物の実際の暮らしを見て表現型に影響を与えてきた環境条件を理解すること、この両方を大切にしていきたいと考えています。

参考文献

  • エコゲノミクス-遺伝子から見た適応- 日本生態学会編 共立出版 2012
  • シマウマの縞 チョウの模様 エボデボ革命が解き明かす生物デザインの起源  ショーン・B・キャロル著 2007
  • チョウの斑紋多様性と進化-統合的アプローチ- 関村利朗・藤原晴彦・大瀧丈二 監修 海游舎 2017
  • Fukutomi Y, Matsumoto K, Agata K, Funayama N, Koshikawa S. Pupal development and pigmentation process of a polka-dotted fruit fly, Drosophila guttifera (Insecta, Diptera). Development Genes and Evolution 227: 171-180. (2017)
  • Koshikawa S, Fukutomi Y, Matsumoto K. Drosophila guttifera as a model system for unraveling color pattern formation. In: Diversity and Evolution of Butterfly Wing Patterns: An Integrative Approach, Sekimura T, Nijhout HF (eds.) Springer. pp.287-301. (2017)
  • Koshikawa S, Giorgianni MW, Vaccaro K, Kassner VA, Yoder JH, Werner T, Carroll SB. Gain of cis-regulatory activities underlies novel domains of wingless gene expression in DrosophilaProceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 112: 7524-7529. (2015)
  • Werner T*, Koshikawa S*, Williams TM, Carroll SB. *equal contribution. Generation of a novel wing colour pattern by the Wingless morphogen. Nature 464: 1143-1148. (2010)

遺伝子発現

親から子へ途切れることなく受け継がれる遺伝子は、すべてが同時に機能を発揮しているのではなく、それぞれが適切な時期に、適切な場所で作用する必要があります。形態形成にそのような遺伝子の発現が大きな役割を持っています。(綿引雅昭)

生物の成長や日々の活動はさまざまな遺伝子がはたらくことによって成し遂げられている。遺伝子がはたらくにはmRNAに転写された遺伝子情報からタンパク質が作られることが必要で、この過程を遺伝子発現という。遺伝子によってはタンパク質にならずにRNAのままで機能するものもある。(木村敦)

遺伝物質(DNA)の「情報」を、RNA、タンパク質などを経て、「機能」に転換し、表現されるまでのプロセス。(山崎健一)

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遺伝情報

ゲノムを構成する核酸(多くの場合はDNA)中に塩基配列として保存されており、1つの個体を形成する細胞は基本的に全く同様の遺伝情報をもっています。(加藤敦之)

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ゲノム

ある生物が持つ遺伝情報全体をゲノムと呼び、細胞の核に含まれる染色体DNAのすべてを指します。ゲノムには、タンパク質をコードするための情報を持つ部分、機能的RNAをコードする部分、およびそれらの発現を調節する部分以外に、機能が不明な部分も存在しジャンクDNAと呼ばれています。(加藤敦之)

それぞれの生物が持っている全遺伝情報、言い換えると、細胞が持っている全DNAがゲノムです。これによって生物の形や性質、発生が制御されています。1個の受精卵から細胞分裂で生じた体のすべての細胞は、特殊な例外を除いて受精卵にあったのと同じすべての遺伝情報を持っています。

ある生物が生きていくうえで必要とするすべての情報を含んだDNAの1セットのこと。高等生物の場合その大部分は遺伝子としての働きを持たない領域であり、近年その役割が注目され始めている。(木村敦)

生物の発生、成長、生殖など生物が生きていくために必要とする遺伝情報の全て。あるいは、染色体に含まれる全塩基配列。(吉田磨仁)

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昆虫

全生物種の半数以上を占め、最も成功し繁栄しているグループです。体は頭・胸・腹に分かれており、胸には脚と翅があります(翅のないものや退化したものあり)。種類が多く、極地から熱帯、地中・地上・水中など様々な環境に適応し多様化しています。(滝谷重治)

我々が現在認識している生物種全体の半分以上の割合を占める多様な生物群です。彼らの進化の道筋を解明することは、自然界における生物多様性の起源の相当部分を説明すると期待されます。(加藤徹)

昆虫の種数は全動物種の2/3に及びます。昆虫は地球上で最も繁栄している動物群です。私は、その繁栄の秘密の一端は、小さくても精妙なその脳の働きにあると考えています。(水波誠)

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進化

生物は遺伝情報を持ち、そこには新しい変異が絶え間なく生じます。そこにはゲノムの柔軟性が関与し、遺伝子は様々な原因で変化します。また、新しい環境を生き抜くため、新しい変異が集団中に広がり、種は形態、機能的に変化します。(鈴木仁)

生物が長い時間の間生命を受け継いでこられたのは進化の仕組みがあったおかげですし、そもそも生物の誕生も進化によるものです。多様な生物も進化の産物であり、生物の進化の歴史を知ることは生物分類にとって大変重要です。(小亀一弘)

エビもカニもミジンコも、5億年くらい前には1種類の動物でした。時間とともに小さな変化が積み重なって進化したことは確かなのですが、どのようにして小さな変化が起こり、大きな変化になるのかを研究するのが進化学です。

コケムシ類は化石記録も豊富にあるため、包括的な進化研究の格好の材料といえます。(マシュー・ヒル・ディック)

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進化発生学

「進化学」と「発生学」を統合した新しい学問です。「個体発生は系統発生を繰り返す」という言葉は誤りであることが明らかになりましたが、発生プログラムの中に受け継がれている進化の歴史を読み解く学問は、これからの大きな発展が約束されています。

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生活史

鳥を例にとれば、個体は、孵化し、親の給餌や世話を受けながら成長し、配偶相手をみつけて繁殖・育雛する、という生活史環を経て、次の世代へと交代していきます。が、この過程で経験されるさまざまな要因が個体の行動に影響を与えます。(相馬雅代)

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生物多様性

生物学のさまざまな階層レベルで見られる生物の多様性を総称したものです。遺伝的多様性、種多様性、景観の多様性などに分類されます。(仲岡雅裕)

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転写

遺伝物質(DNA)の情報を、たくさんコピーして伝令RNAに写し取るプロセス。(山崎健一)

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