教員

海の色と植物プランクトン

伊佐田 智規准教授/ISADA, Tomonori

厚岸臨海実験所
研究分野
生物海洋学
研究テーマ
沿岸生態系物質循環における浮遊性植物プランクトンの動態解明

地球温暖化を含めた海洋環境変化に伴う植物プランクトン群集(左図)や基礎生産(光合成)の動態変動に関する研究を行っています。船舶観測と衛星リモートセンシング(右図: クロロフィル濃度)を組み合わせた統合的解析手法により、海洋の物質循環過程における植物プランクトンの役割を評価する事を目指しています。また、沿岸海洋生態系は様々な環境要因と多様な生物群集が存在しており、植物プランクトン群集の変動機構は、その複雑な相互作用のため、あまり明らかにされていません。森と海、それらを繋ぐ川の影響を考えながら、沿岸海洋生態系の物質循環における植物プランクトンの役割に関する研究も行っています。

(左)植物プランクトン群集、(右)クロロフィル濃度
メッセージ

厚岸臨海実験所の周りには、海があり、湖があり、川があり、陸も含めて自然生態系がとても豊かな所です。フィールドに出て、季節や場所によって異なる姿を見せる自然を感じ、観察する事で、様々な角度から自然現象や物事を捉えられる事ができるようになってほしいと思います。また、植物プランクトンというと「生物」というイメージをありますが、海の中の現象にしても光合成にしても「物理」「化学」「生物」がすべて密接に結びついています。広い視野で自然を捉えられるよう様々な分野に興味を持ってほしいと思います。

参考文献

  • 海洋生態学 日本生態学会編、共立出版、2016年
  • 藻類30億年の自然史 東海大学出版会、第2版、2007年
  • 森と海をむすぶ川: 沿岸域再生のために、京都大学学術出版会、2012年

海色衛星リモートセンシング

天気予報に使われる気象衛星以外にも、宇宙には様々な衛星が飛んでいます。特に、海の色を測定する衛星は植物プランクトンなどを広範囲かつ連続的に測定しています。衛星は全球規模での地球環境変動をモニタリングするために必要不可欠な技術です。(伊佐田智規)

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基礎生産(光合成量)

植物プランクトンの光合成によって作り出された有機物は、食物連鎖の出発点です。そのため、植物プランクトンによる生産量を基礎生産(一次生産)と呼びます。海洋の植物プランクトンの年間基礎生産は、陸上植物のそれとほぼ同じくらいと考えられています。(伊佐田智規)

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植物プランクトン

遊泳能力がなく、水中を漂いながら光合成を行って生活をしている、とても微細な生物です。ほとんどが顕微鏡を使わないと見る事ができません。陸上植物はほとんどが緑色植物ですが、海には珪藻類、渦鞭毛藻類、藍藻類など様々な植物が生息しています。(伊佐田智規)

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物質循環

光合成によって吸収された二酸化炭素は、食物連鎖を通じて海洋内部に蓄積され(生物ポンプ)、そして、再び無機物へ分解されて、地球を循環します。今後の地球温暖化を予測するためにも、生物ポンプの強弱や炭素の行方=物質循環を正確に知る事が重要です。(伊佐田智規)

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ウェブサイト

北海道大学北方生物圏フィールド科学センター厚岸臨海実験所
北海道大学厚岸臨海実験所 (Akkeshi Marine Station, Hokkaido University)

所属研究院

北方生物圏フィールド科学センター

担当大学院

環境科学院
生物圏科学専攻

連絡先

厚岸臨海実験所(厚岸郡愛冠1番地)
Email: t-isada [atmark] fsc.hokudai.ac.jp
TEL: 0153-52-2056
FAX: 0153-52-2042

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