教員

植物を利用する真菌類の進化

千明准教授/HORI, Chiaki

環境分子生物学系
研究分野
微生物学、分子生物学、森林生化学
研究テーマ
炭素循環に重要な植物を分解する菌類の多様性と進化

樹木はセルロース・ヘミセルロース・リグニンなどからなる頑丈な細胞壁と抗菌成分となる化合物を生産することで、微生物からの攻撃を防いでいます。一部の特別な真菌類は、このような樹木が保有する防御機構を突破する分子機能を持っています。特に樹木によく付着している担子菌類(きのこなど)は、樹木を効率的に分解し、栄養に変換する事ができます。私達の研究室は、その機能を支える酵素や分子メカニズムを、ゲノム情報や生化学的解析手法などを利用して明らかにしています。真菌類が長い年月をかけ獲得した植物分解能力の根幹を理解する事で、森林生態系における真菌類の進化に迫っていきたいです。さらに真菌類が持つ植物分解メカニズムは、植物バイオマスを分解利用技術にも利用可能であるため、応用技術基盤を開発することも目指しています。

樹木に寄生するきのこ
メッセージ

私達の研究室では、森林生態系の炭素循環において重要な植物と真菌類を対象として、環境中で起こっている現象を分子レベルで理解するための基礎研究および得られた知見を利用した実学化に向けた応用研究を行っています。きのこをはじめとした真菌類の持つ不思議な力を研究して、何が分かるのか、何に役立つのか、など一緒に考えていきましょう。研究室では、ディスカッション(聞くこと・話すこと)を重視しており、学会発表や論文執筆などのアウトプットを通して研究者として成長することを期待しています。

参考文献

  • “植物の多様性に合わせたキノコの進化” 堀千明, 岩田茉奈. 生物工学誌 バイオミディア 96(12) 78 2018年 https://www.sbj.or.jp/sbj/sbj_biomedia_2018.html
  • “木材腐朽担子菌のゲノム・ポストゲノム解析から植物細胞壁と分解酵素の共進化を考える” 堀千明, 五十嵐圭日子, 鮫島正浩. 化学と生物 53(6) 381-388, 2015年 https://katosei.jsbba.or.jp/index.php?aid=393
  • “Omics analyses and biochemical study of Phlebiopsis gigantea elucidate its degradation strategy of wood extractives.” Mana Iwata, Ana Gutiérrez, Gisela Marques, Grzegorz Sabat, Philip J Kersten, Daniel Cullen, Jennifer M Bhatnagar, Jagjit Yadav, Anna Lipzen, Yuko Yoshinaga, Aditi Sharma, Catherine Adam, Christopher Daum, Vivian Ng, Igor V Grigoriev, Chiaki Hori* Scientific reports 11(1) 12528-12528 *Corresponding author
  • “Identifying transcription factors that reduce wood recalcitrance and improve enzymatic degradation of xylem cell wall in Populus” Chiaki Hori*, Naoki Takata, Pui Ying Lam, Yuki Tobimatsu, Soichiro Nagano, Jenny C. Mortimer, Dan Cullen. Scientific Reports 10(1) 22043-22043 *Corresponding author

森林生態系の炭素循環

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担子菌(きのこなど)

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樹木細胞壁

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樹木成分分解酵素

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生物相互作用研究

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