教員

電気を感じる魚たちの世界

福富 又三郎助教/FUKUTOMI, Matasaburo

行動神経生物学系
研究分野
神経生物学、神経行動学、比較生理学
研究テーマ
電気感覚のメカニズムと進化

我々が住む陸上と比べて、水中に棲む生き物は全く異なる物理環境に晒されており、我々が想像し得ない「感覚世界」が広がっています。私のグループでは、電気パルスを出してコミュニケーションやナビゲーションを行うアフリカ原産のモルミルス科電気魚を対象に研究を進めており、行動学・生理学・情報科学的アプローチを用いて、電気感覚の世界を想像してみたいと考えています。さらに最近では、発電能力は持たないものの、電気感覚を持つ近縁の魚を対象に新たな研究を展開し、種間比較を通じて電気感覚の進化について考察しています。

モルミルス科電気魚は尾部の電気器官から電気パルス(Electric organ discharge [EOD])を発生させ、身体中の電気感覚器で受容する。パルス間隔を柔軟に変えることで、なんらかのメッセージを送っている。

電気感覚のみを持つ2種の魚(上:アフリカンナイフ、下:トランスルーセントグラスキャット)

電気魚の電気コミュニケーション
水槽の周囲に配置された8対(16本)の電極から魚たちが出している電気パルス信号を取得し、さらに真上にカメラで魚たちの遊泳運動を撮影しました。さらに、独自のアルゴリズムによって得られた電気パルス信号を個体ごとに紐付け、姿勢トラッキングによって魚の行動を定量化しました。これにより、「いつ、どこで、誰が、何を言ったか」をすべて観察することができます。

メッセージ

生物の種ごとに、環境や系統的制約に応じた、生きるカラクリを持っています。そう考えると、まだわかっていない面白そうなことが山のようにありますね。何を研究しますか?

参考文献

Hormonal coordination of motor output and internal prediction of sensory consequences in an electric fish. Fukutomi M, Carlson BA. Current Biology 33:3350–3359. 2023   DOI:10.1016/j.cub.2023.06.069

Signal diversification is associated with corollary discharge evolution in weakly electric fish. Fukutomi M, Carlson BA. Journal of Neuroscience 40:6345–6356. 2020   DOI:10.1523/JNEUROSCI.0875-20.2020

A history of corollary discharge: Contributions of mormyrid weakly electric fish. Fukutomi M, Carlson BA. Frontiers in Integrative Neuroscience 14:42. 2020  DOI:10.3389/fnint.2020.00042

モルミルス科弱電気魚から探る随伴発射の神経メカニズム 福富 又三郎 比較生理生化学 40:97–104. 2023  10.3330/hikakuseiriseika.40.97

コミュニケーション

閉じる

アクティブセンシング

閉じる

電気感覚

閉じる

行動の進化

閉じる

感覚運動統合

閉じる

随伴発射

閉じる

神経回路

閉じる

神経コーディング

閉じる

電気生理

閉じる

動画解析

閉じる

ステロイドホルモン

閉じる

種間比較

閉じる

弱電気魚

閉じる

真骨魚類

閉じる

所属研究院

大学院理学研究院
生物科学部門
行動神経生物学分野

担当大学院

生命科学院
生命科学専攻
生命システム科学コース

連絡先

理学部5号館5-803号室
Email: mfukutomi [atmark] sci.hokudai.ac.jp
TEL: 011-706-3523

オフィスアワー

講義や実習について質問がある場合、また研究室の見学を希望する場合に、教員を直接訪問できます。


訪問受入時間: 随時


オフィスアワー日時でもなるべく事前連絡をお願いします

教員一覧