糖による植物の成長制御に関わる新規ユビキチンリガーゼATL15を発見
形態機能学系の山口淳二先生と佐藤長緒先生のグループが、植物の糖応答に関する新しい発見を論文発表しました。以下、佐藤先生による解説文です。
糖は生命活動を支える重要な栄養素です。細胞内の糖は代謝基質およびシグナル分子としての役割を果たし、生物個体の成長に大きく影響を与えます。私達は、糖に応答した遺伝子発現変動のプロファイルから、植物における新規の糖応答制御因子として膜局在型ユビキチンリガーゼATL15を単離しました。ATL15の変異体では、植物のバイオマスおよび細胞内の糖濃度が影響を受けており、この遺伝子が植物の成長制御に関わる重要な因子であると考えられます。
ユビキチンシグナルは、膜局在タンパク質の細胞内局在性やエンドサイトーシスによる分解制御に寄与することが知られています。ATL15は、細胞膜および細胞内小胞(エンドソーム)に局在することから、これまで不明な点が多かった糖トランスポーターや受容体タンパク質の機能制御に関わる可能性が予想されます。引続き、詳しい機能解析を実施していきます。
ATL15-GFP融合タンパク質の細胞内局在性
発表論文: Aoyama S., Terada S., Sanagi M., Hasegawa Y., Lu Y., Morita Y., Chiba Y., Sato T. and Yamaguchi J.* (2017) Membrane-localized ubiquitin ligase ATL15 functions insugar-responsive growth regulation in Arabidopsis. Biochem. Biophys. Res. Commun. 491: 33-39.
(http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0006291X17313700)