研究トピックス

フクロウ類のヒナ親の声を聞き分けられる!?
リュウキュウコノハスヒナ血縁認識能力の実験検証

 多様性生物学系の髙木昌興教授、澤田明助教、理学院博士後期課程の堀内晴さんらの研究グループは、野生のリュウキュウコノハズク個体群を用いて、ヒナの血縁認識能力の有無と、その獲得メカニズムを検証しました。

 顔立ち、声、はたまた雰囲気・・・。自分はこの人と血がつながっているな、と実感することは多いのではないでしょうか。動物も自分と他の個体との血縁関係を認識する能力(血縁認識能力)を持つことが知られています。しかしその能力が生まれながら(生得的)に備わっているものなのか、学習によって獲得されるものなのか、ということは、ほとんど検証されていませんでした。本研究では、南大東島に生息するリュウキュウコノハズク個体群(亜種ダイトウコノハズク)を用いて、ヒナが血縁認識能力を持っているか、持っているとしたら、それは生得的なものなのか、学習によるものなのかを実験により検証しました。

 ヒナは巣に飛来する成鳥の気配を察すると、餌乞い声と呼ばれる声を出して餌をねだります。巣立ち前のヒナに、父、祖父、他人オスという異なる3種類のオスの声を聞かせたところ、ヒナは成長段階によらず、全てのオスの声に対して同程度に餌乞い声を発しました。これは、巣立ち前のヒナが生得的な血縁認識能力を持っていないことを示唆します。

 餌乞い声を発することは、捕食リスクを高めるなどデメリットを伴います。ダイトウコノハズクの祖先が南大東島に移住してから人間が定着するまでの数十万年にわたって、ダイトウコノハズクの捕食者となる生物は存在しませんでした。ダイトウコノハズクはなわばりを作って子育てをするため、巣内にいるヒナが両親以外の大人と出会う機会はほとんどありません。つまり捕食者不在の環境と、なわばり繁殖という特性により、ヒナは血縁認識能力を発達させなかった可能性が示唆されました。

 なお、本研究成果は、2026年7月31日(金)公開の Ornithological Science 誌にオンライン掲載されました。

(左)オスの声を聞いて餌乞い声を発するヒナ。(右)ヒナの餌乞い声の声紋 “ジュッ”と聞こえる。

論文情報
論文名:Do Ryukyu Scops Owl owlets on Minami-daito Island recognize kin relationships based on male hoots?(南大東島におけるリュウキュウコノハズクのヒナはオスの鳴き声から血縁関係を認識しているか?)
著者名:堀内晴1、金杉尚紀1、坂井充1、中村晴香1,2、中田知伸1、澤田明3,4、髙木昌興4
1北海道大学大学院理学院、2いであ株式会社、3早稲田大学人間科学学術院、 4北海道大学大学院理学研究院)
雑誌名:Ornithological Science(鳥類学の国際学術誌)
DOI:10.2326/osj.OSJ-2025-033

プレスリリースはこちら