研究トピックス

島に隔離される鳥類は固有の羽色を発達させる遺伝的系統から見た琉球列島におけるリュウキュウコノハス羽色の変異

多様性生物学系の髙木昌興教授と大学院生の榛沢日菜子さん、澤田明助教、山階鳥類研究所の齋藤武馬博士らの研究グループは、画像解析により琉球列島に生息するリュウキュウコノハズクを用いて、羽色が遺伝的な系統間や生息している島間で差異があるか、環境要因に影響を受けているかを明らかにしました。

琉球列島においては、沖縄島と宮古島の間にあるケラマ海峡が、このリュウキュウコノハズクの分布域を約270kmにわたって分断しています。この海峡によって分断された北側と南側の島の個体群は、ミトコンドリアDNA(CO1領域)の遺伝子解析により、二つの異なる遺伝的系統群を形成していることが明らかになっています。しかし、例外的に沖縄島においては両系統が混在して生息しています。そこで、本研究ではケラマ海峡の北側の奄美大島、徳之島(純粋な北系統)、両系統が混在する沖縄島、ケラマ海裂の南側の宮古島、石垣島、西表島、波照間島、与那国島(純粋な南系統)のリュウキュウコノハズクの羽色を画像解析により数値化しました。その結果、リュウキュウコノハズクの羽色がミトコンドリアCO1遺伝子に基づいた北系統と南系統の2系統間で異なることを解明しました。また、両方の系統群が存在する沖縄島ではこの差異が観察されず、2系統間の交雑が起きていることが示唆されました。一部の島間でも羽色の差異が確認されましたが、気温や植生などの環境要因と本種の羽色について直接的な相関は見られませんでした。そのため、琉球列島における本種の羽色の変異は、分布域全体にわたる連続的な形質ではなく、地理的隔離によって形成されたものであると考えられます。

なお、本研究成果は、2026年6月4日(木)公開のOrnithological Science誌にオンライン掲載されました。

プレスリリースはこちら

論文名:Differences in plumage coloration between northern and southern populations of the Ryukyu Scops Owl in the Ryukyu Archipelago(琉球列島におけるリュウキュウコノハズクの北系統個体群と南系統個体群の羽色の差異)
URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/osj/advpub/0/advpub_OSJ-2025-017/_article/-char/ja

リュウキュウコノハズクどちらも成鳥だが、同じ種でも羽色の差異が大きい