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高木研究室の学生さんが日本生態学会で最優秀ポスター賞を受賞

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多様性生物学系(高木研究室)の理学院特別研究学生(大阪市立大学大学院理学研究科・大学院生)西田有佑さんが平成30年3月14日~18日に開催された第65回日本生態学会札幌大会において、最優秀ポスター賞を受賞しました。

発表タイトルは「オスの貯食行動は性選択によって進化した?―モズは「はやにえ」を食べてメスの誘引に重要なさえずりの質を高める―」です。

以下、高木先生と西田さんによる解説です。

鳥類や哺乳類、節足動物では、餌資源が不足する時期に備えて、餌を貯える「貯食行動」がみられます。この行動は餌資源不足を補うように自然選択で進化したという説が主流です。しかし多くの種で貯食行動には性差があることから、性選択は貯食行動の進化に関係している可能性があると私たちは考えました。

モズは動物食の鳥類で、捕えた動物をなわばり内の木々の枝先などに突き刺して「はやにえ」を作ります。私たちは、オスは非繁殖期でのみはやにえを貯え、ほぼ全ての「はやにえ」を繁殖期が始まるまでには食べ尽くすことを発見しました。

観察結果から歌唱速度の速いオスは「はやにえ」の消費量が多く、早くつがいを形成することがわかりました。「はやにえ」の数を人為的に増減させた実験からも実証されました。モズのオスは繁殖期に入るとさえずり、早口で歌うオスはメスに好まれ、その「早口さ」はオスの栄養状態に依存しているということです。

モズのオスははやにえを食べてメスの誘引に重要なさえずりの質を高めていると結論できました。これは貯食行動の進化には性選択が関係していることを実証した初めての研究です。