北大関係者の記載した海産無脊椎動物2種が2019年の新種トップテンに選ばれました
柁原研究室で平成30年度学位取得後に国立極地研究所において日本学術振興会特別研究員(PD)として研究を継続している自見直人博士が鳥羽水族館の森滝丈也学芸員と共同で2019年に公表した「タコヤドリゴカイ」が、世界の研究者が活用するデータベース「国際海洋生物種目録WoRMS」による「2019年の注目すべき海洋生物10種」に選ばれました。このトップテンは、毎年2000種程度新種として記載される海産生物の中から、WoRMSのデータ管理・編集作業に携わる600名以上の研究者たちが選ぶものです。
タコヤドリゴカイSpathochaeta octopodis Jimi, Moritaki & Kajihara, 2019.撮影:森滝丈也(鳥羽水族館).A.宿主のタコ.タコヤドリゴカイは白矢印.スケールバーは1 cm.B.タコヤドリゴカイの拡大写真.体長は8.5 mm.他の動物と共生する多毛類は多く知られるが、本種はタコの仲間に共生する初の例であり、新属新種として記載された.
「2019年の注目すべき海洋生物10種」には本学科出身で現在東京大学三崎臨海実験所助教である岡西政典博士が大場裕一教授(中部大学)・藤田喜久准教授(沖縄県立芸術大学)と共著で記載した「ドウクツヒカリクモヒトデ」も選ばれています。
ドウクツヒカリクモヒトデOphiopsila xmasilluminans Okanishi, Oba & Fujita, 2019.撮影:藤田喜久(沖縄県立芸術大学).オーストラリア領クリスマス島の海底洞窟から発見された.盤の直径は6 mm程度、腕の長さは8 cmほど.外的刺激に反応して発光する.海底洞窟にすむ発光クモヒトデとして初めて、かつ現在のところ唯一の種として新種記載された.
岡西博士によると「(自見博士と)一緒に日本の分類学を世界にアピールできたことを、とてもうれしく思っております」とのことです。WoRMSの新種トップテンは2018年から始まったもので歴史は浅いですが、2019年に選ばれた10種のうち2種に北大出身者が関連していることは大変誇らしいことです。
「タコヤドリゴカイ」原記載論文はこちら
「ドウクツヒカリクモヒトデ」原記載論文はこちら