堀口先生が底生性渦鞭毛藻類のガイドブックを刊行
2014.08.22
多様性生物学講座の堀口健雄先生がドイツ,オーストラリア,フランスの専門家と共に底生性渦鞭毛藻類の多様性に関するガイドブック(M. Hoppenrath, S.A. Murray, N. Chomérat and T. Horiguchi (2014) Marine benthic dinoflagellates – unveiling their worldwide biodiversity. Senckenberg, Stuttgart pp.276)を刊行しました。
渦鞭毛藻類は単細胞藻類の仲間で,水圏生態系の一員として重要な役割を果たすとともに,渦鞭毛藻核と呼ばれる一風変わった核を持つことや複数回の細胞内共生による複雑な葉緑体進化過程を示すなど生物学的にも種々の興味深い性質をもつ生物群です。多くの渦鞭毛藻類は浮遊性(プランクトン)ですが,中には砂浜の砂粒の間隙や海藻類の表面に生息する「底生性」の種類も知られています。底生性渦鞭毛藻類の多くがシガテラ毒などの魚貝毒を産生することから,近年さまざまな方面から注目されています。海の底生環境の藻類相や貝毒への影響を調べるためには構成種の正確な同定が欠かせません。しかしながら底生性渦鞭毛藻類の種類を同定するためのまとまった文献はありませんでした。今回出版されたガイドブックは今までに世界各地から記載された底生性の渦鞭毛藻類のほとんどの種を網羅し,それぞれの種を豊富なカラー写真やSEM写真を用いて解説した世界で初めてのもので,貝毒の研究者だけでなく分類学者や生態学者など幅広い分野の研究者の役に立つことが期待されます。
<内容>
- Introduction
- Materials & Methods
- Taxonomy
- Phylogeny and systematics
- Biogeography
- Ecology
- Toxin of benthic dinoflagellates and benthic harmful algal blooms
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