Nature Structural & Molecular Biology最新号の表紙は卒業生の作品です!
【生物科学科(生物学)ならびに大学院理学研究院自然史科学専攻多様性生物学講座出身の楢木佑佳さんからニュース原稿を送ってもらいました。】
私は生物科学科(生物学)の卒業生で、栃内新先生の研究室で大学院博士後期課程まで学びました(研究対象はミジンコ)。現在は株式会社スペースタイムに勤務しており、学部と大学院で学んだことを活かして、サイエンスと学びに関する広報物やイベントの企画、制作に携わっています。
このたび、北大理学部生物科学科(高分子機能学)の小布施教授の論文を題材として私が描いたイラストがNature姉妹紙のNature Structural & Molecular Biology 5月号の表紙に採用されました。
http://www.nature.com/nsmb/journal/v20/n5/covers/index.html
ヒトの性を決める性染色体は、男性はXとYが1本ずつ、女性はXが2本の組み合わせです。女性の細胞では2本のX染色体のどちらか1本が働かないように小さく折りたたまれて「凝縮」していることが古くから知られています。今回の論文で、小布施教授のグループはX染色体の凝縮をつかさどるタンパク質(HBiX1)を突き止めることに成功しました。
三毛猫のまだら模様は、細胞ごとに決まるメスのX染色体の不活性化パターンが目に見える有名な例です。表紙のイラストでは、”赤い首輪をつけて小さく丸まっている三毛猫”が、コンパクトに折りたたまれて働かないX染色体を、 “のびをしている三毛猫”が働いているX染色体を表現しています。また、浮世絵風に描くことで、日本の研究者の成果であることもアピールしています。
今回目指したのは、見た目にインパクトがあり、意味が分かったときに「Make sense !(なるほど!)」と思ってもらえる作品です。小布施研究室の方々と一緒にアイデアを練る過程では、これまで学んできた生物学の知識が大きな助けとなりました。もちろん、生物学における長年の謎に迫る論文が高い評価を受けた結果ではありますが、イラストで研究成果のお手伝いができたこと、自分の描いたものがNatureグループ誌の表紙に採用していただけたことが大変光栄で嬉しいです。
関連リンク
この論文のプレスリリース(楢木が作図を担当)
http://www.hokudai.ac.jp/news/130401_pr_sci.pdf
株式会社スペースタイム
http://www.stxst.com