伊藤研究室の学生が2021年度の日本遺伝学会GGS prizeを受賞
形態機能学系・伊藤秀臣准教授の研究室の卒業生・林優衣さんらが、修士課程在籍時に取り組んだ成果を英文雑誌『Genes and Genetic Systems』に発表しました。この度、その論文が2021年度GGS prizeを受賞しました。GGS prizeは日本遺伝学会の出版するGGSに掲載された論文を対象として、1年間で最も優れた学術論文1~2編に与えられます。
論文内容:トランスポゾンはDNAのメチル化などのエピジェネティックな機構により厳密にその活性が制御されている。植物におけるトランスポゾン抑制機構であるRNA-directed DNA methylation (RdDM)の変異体を用いて、シロイヌナズナの高温活性型レトロトランスポゾンONSENの転移活性について解析した。その結果、ONSENの転写量と転移頻度に相関は見られず、むしろ高温ストレスによるクロマチン構造の変化がトランスポゾンの転移頻度に関与していることを示唆する結果が得られた。
ONSENはRdDM経路によって転写・転移制御を受けています。一方で、挿入先のクロマチン構造は、PolⅣが存在する野生型の場合は熱ストレス時にも凝縮しておりONSENが挿入されにくくなっています。PolⅣ変異体では、クロマチンがゆるんだ状態にあるため、ONSENの挿入が起こりやすくなります。
受賞論文
“ONSEN shows different transposition activities in RdDM pathway mutants”
Yui Hayashi, Kanako Takehira, Kosuke Nozawa, Takamasa Suzuki, Yukari
Masuta, Atsushi Kato and Hidetaka Ito
Genes & Genetic Systems 2020, 95(4):183-190.
(https://doi.org/10.1266/ggs.20-00019)