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Y染色体のないアマミトゲネズミ繁殖プロジェクト始動

生殖発生生物学系の黒岩麻里教授が研究材料としているアマミトゲネズミ(Tokudaia osimensis)が、国内三カ所の動物園に導入され、飼育繁殖のプロジェクトが開始されました。

アマミトゲネズミは哺乳類でありながらY染色体がなく、オスもメスもXO型の性染色体をもちます。また、哺乳類の性決定遺伝子であるSRY遺伝子も消失しています。世界的にも大変珍しい特徴をもつ動物ですが、生息地である奄美大島では、近年の森林伐採による生息環境の減少、マングース、ノネコなどの移入種による補食が原因で、その生息数を劇的に減らしています。環境省のレッドリストでは、絶滅の危険度が二番目に高い「絶滅危惧IB類」に指定されています。過去には、黒岩教授の共同研究先である宮崎大学や岡山理科大学にて飼育下におかれましたが、繁殖は一度も成功していませんでした。これは、繁殖に適した環境を、大学の設備では整えられなかったことが一因と考えられています。

そこで今回、環境省と日本動物園水族館協会(JAZA)の協力により、アマミトゲネズミがフェニックス自然動物園(宮崎市)、上野動物園(東京都台東区)、埼玉県こども動物自然公園(東松山市)に導入され、飼育下での繁殖に取り組むプロジェクトが開始しました。動物園では、より野生に近い環境を整えることができ、繁殖に適した飼育条件を調べることが可能です。

アマミトゲネズミは、その生物学的な特徴から世界的にも注目を集めている動物ですが、希少な日本固有種でもあります。このプロジェクトについては、読売新聞および毎日新聞でも記事として公開されています。

読売新聞:http://www.yomiuri.co.jp/eco/20170414-OYT1T50016.html

毎日新聞:https://mainichi.jp/articles/20170408/k00/00e/040/236000c