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31回北海道特殊関数セミナー昇降演算子の構成法蛭子 彰仁 千葉工業大学)

Event Date: Feb 16, 2024

時間: 15:00-16:30
場所:理学部3号館4階, 3-413
講演者:蛭子 彰仁 氏  (千葉工業大学)

題目:昇降演算子の構成法

概要:Fuchs型微分方程式に対し、特性指数を整数だけずらす作用素を考えよう。特に、それが有理関数係数線型微分作用素として実現される場合、この作用素を昇降演算子(シフト演算子)と呼ぶことにする。実は、どのようなFuchs型微分方程式にも昇降演算子が存在するわけでは無い。一方で、昇降演算子を持つような微分方程式は、幾分か解析が容易になる。例えば、超幾何微分方程式は昇降演算子を持つことから、解である超幾何関数の持つ多くの性質が導かれる。従って、昇降演算子を持つような微分方程式は「良い方程式」であろう。
本講演ではまず、Gaussの超幾何微分方程式を例に、昇降演算子の構成法を見る。次に、確定特異点を3点持つ3階Fuchs型方程式(スペクトル型:111,111,111)に対し、この構成法を適用する。アクセサリーパラメータを1個持つこの方程式は一般には昇降演算子を持たないが、特性指数・アクセサリーパラメータに制限を加えることで昇降演算子を持つような微分方程式が導出される。そのような「良い方程式」の中にはDotsenko-Fateev方程式といった有名なものも含まれている。時間が許せば、Heunの微分方程式に同様のことを実行した結果もお話したい。