Event
談話会: 統計多様体は tangible か(古畑 仁), 金属強磁性のメカニズム解明に向けた関数解析的アプローチ(宮尾 忠宏)
Event Date: May 25, 2022
Schedule:
15:00~16:00 古畑 仁 氏
16:00~16:30 懇談会
16:30~17:30 宮尾 忠宏 氏
Place: オンライン開催(zoom)
Speaker: 古畑 仁(北大理)、宮尾 忠宏(北大理)
古畑 仁/統計多様体は tangible か
前半は,統計多様体の幾何学の起源を非専門家向けに紹介し,この未開拓領域の課題に触れる.後半は,講演者が関わっている北大総合博物館関係のアウトリーチ活動を紹介し,より軽やかな話題の提供をめざす.
宮尾 忠宏/金属強磁性のメカニズム解明に向けた関数解析的アプローチ
磁石は古代ギリシャの時代から既にその存在が知られていました.当時は魔術の典型的な例として特殊な位置を占めていたようです.大航海時代には羅針盤として磁石は用いられましたし,万有引力の概念形成の過程で重要な役割を果たしたとされています.現代でも,多種多様な実用的応用が磁石にはなされています.このように,磁石は私達に身近な物質なのですが,磁性(特に金属強磁性)のメカニズムに関する数学的に首尾一貫した理論は現在でも与えられてはいません.
本講演では,磁性を記述するための基本的な用語や数学的な設定を説明した後,金属強磁性に関する厳密な研究の概観をご紹介します.特に,長岡強磁性,Liebのフェリ磁性を中心に,それらの安定性に関する関数解析的なアプローチを解説します.この分野ではハバード模型や近藤格子模型などの多彩な模型が現れますが,これらの模型に共通の数学的構造を作用素論や作用素環論を用いて記述できることを概説します.