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談話会: 非可換従順作用の発見と最近の進展(鈴木 悠平), 関数体上の GL_d モジュラーシンボル(安田 正大)

Event Date: Nov 25, 2020

Schedule:
15:00~16:00 鈴木 悠平 氏
16:00~16:30 懇談会
16:30~17:30 安田 正大 氏

Place: オンライン開催(zoom)

Speaker: 鈴木 悠平(北大理),  安田 正大(北大理)


Title:非可換従順作用の発見と最近の進展/鈴木 悠平(北大理)

Abstract:群の従順性は群を有限の感覚で理解できることを保証する性質である.その反対の非従順性は一般に混沌とした世界であり,その最たる現象はバナッハ=タルスキーのパラドックス[回転群は非従順]に見ることができる.一方で,このような直感に反するふるまいをする群についても,しばしばその境界上などにおいて,従順群と同様のよい挙動を示す可測作用があり,これは従順作用としてZimmerにより定式化された.その後Delarocheなどにより,非可換・連続化され,これはバウム=コンヌ予想や有限因子環論への応用など,作用素環論の主流に重要な応用を与えてきた.この講演では,作用素環論の本質である非可換環の世界に興味を絞り,(1)本質的に非可換な従順作用の発見,(2)非従順群の作用素環上の作用の初めての分類の成功,(3)散発的に導入されていた非可換作用の「従順性」の同値性+その応用といった最近の私の研究について紹介したい.(3)は数理研の小沢登高との共同研究である.


Title:関数体上の GL_d のモジュラーシンボル /安田 正大(北大理)

Abstract:Hasse-Weil L 関数の特殊値がいわゆる Beilinson regulator を用いて記述できるという Beilinson 予想があり, Beilinson が楕円モジュラ曲線の場合に部分的に解決している. Beilinson の手法を関数体上で高次元に拡張するとモジュラーシンボルの関数体類似が自然に現れる. 本講演では関数体上のモジュラーシンボルと regulator, L 関数の特殊値との関係についての結果を復習してから, モジュラーシンボルの生成する空間についての最近の結果について話す. 本講演で話す結果のほとんどは近藤智氏との共同研究に基づく.