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偏微分方程式セミナー: 相転移を伴う熱流体の定常状態について, 儀我 美一 氏
Event Date: Oct 04, 2024
Time:16:30-17:30
Place:理学部4号館4-501室 (hybrid)
Organizer:黒田 紘敏、浜向 直
Speaker:儀我 美一 氏 (東京大学)
Title:相転移を伴う熱流体の定常状態について
Abstract:冷暖房は現代社会には欠かせない。化石燃料の利用を最小限にするために、熱流体の相転移に基づくヒートポンプの原理に基づいて多くのエアコンが作られている。エアコンでは、大雑把には、低温液体熱流体が、外界から熱量をうばって気化することにより、外界(冷房の場合は室内)を冷やし、次に気体冷媒を圧縮することにより凝縮が起こりやすくし、気体冷媒の熱を放出(冷房の場合は屋外に)して液体冷媒にする。それを膨張させて圧力をさげ気化をおこりやすくする。というプロセスを繰り返している。このエアコンの定常状態は、冷凍サイクルとよばれている。数学的には相転移を伴う熱流体の定常状態と考えられる。本講演では、第一原理(質量保存則、運動量保存則、エネルギー保存則)から導かれる相転移を伴う2相一次元熱流体方程式(鋭敏界面モデル)の定常解として、冷凍サイクルの説明を試みる。特に気化や凝縮を伴う問題を、輸送項つきの定常ステファン問題としてとらえる。得られた解の安定性はまだ未知である。双曲型方程式や、消散項付きの双曲型方程式に関する問題はしばしば自明解の安定性が主体であるので、数学解析の手のついていない問題は多数ある。本講演ではさまざまな未解決問題について触れる。本講演の定常ステファン問題の導出に関する問題については、顧仲陽氏(東大特任研究員)との共同研究に基づく。また、拡散界面モデルについては、竹村春希氏(東大博士課程、柏原研究室)との共同研究に基づく。