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偏微分方程式セミナー: 2成分3NLS系の可積分性について, 眞崎

Event Date: May 09, 2025

Time:16:30 – 17:30

Place:理学部 4 号館 4-501 (hybrid)

Organizer:喜多 航佑、津原 駿

Speaker:眞崎 聡 氏 (北海道大学)

Title:2成分3次NLS系の可積分性について

Abstract:1次元3次NLS方程式が可積分であることはよく知られており、無限個の保存則を持つことや、逆散乱法を用いて解の詳細な挙動が記述できることなど、様々な良い性質が知られている。近年では、いくつかのモデルにおいて、負の指数をもつソボレフノルムと同値な保存則が構成され、シャープな適切性の結果が得られており、注目を集めている。
本講演では、2成分に拡張した1次元3次NLS系の可積分性(ラックスペアの存在)について考察する。ラックスペアの構成が難しい点は、系統的な手法が知られておらず、現状では個別に確認する以外に方法がないことである。本研究では、質量・運動量・エネルギーに続く「第4の保存則」の成否に着目することで、2成分系のうち可積分であるものが15種類に分類されることを示す。
より具体的には、いずれの標準形にも帰着できない場合には、第4の保存則の不成立などの、無限個の保存則の系列に何らかの欠けが生じる(したがって、少なくとも単独方程式の場合と同じ意味では可積分ではない)ことがわかる。 得られた15の標準形のうち、その多くは既に可積分であることが知られているが、1種類は新しいものと思われる(講演者が調べた限りでは未報告である)。これは、M.-Segata-Uriya (2024) において小さい解の漸近挙動が調べられている系であり、 1本目が単独方程式で2本目が線形方程式という非常に特殊な構造をもっている。