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29回北海道特殊関数セミナーμ 函数()入門(渋川元樹土見怜史(神戸大 理))

Event Date: Oct 06, 2023

Time: 16:45-18:45

Place:Faculty of Science Building  #3, Room 3-413

Speaker:渋川元樹 、土見怜史(神戸大 理)

Title:μ 函数(再)入門

Abstract:

アブストラクト:μ 函数はモックテータ函数の研究を背景として, Zwegers (2002) によって導入された. これはその後大きなブレイクスルーになった調和 Maass 形式によるモックモジュラー形式の研究 (Bruinier-Funke (2004), Bringmann-Ono (2006), Zagier (2007)) の端緒を開いたが, 他方これらのモックテータ函数の文脈とは全く独立に, μ 函数それ自身が特殊函数として非常に基本的かつ重要であることがわかってきた.
本講演では, 講演者らの研究に基づき, 特殊函数の立場からのμ 函数の入門的解説, 及び最近の展開の紹介を行う.

第1部 基礎編 渋川元樹

オリジナルの Zwegers’ μ 函数の簡単な紹介からはじまり,μ 函数の特殊函数論的理解に必要となる q 特殊函数( q 超幾何), q 解析( q 差分方程式, q-Borel, Laplace 変換)の必要事項の解説を行う. これらのセッティングの下でZwegers’ μ 函数の 1 パラメータ変形である一般化 μ 函数を導入し, 対称性, 明示公式, 隣接関係式, 接続公式等の基本的性質を紹介する. 特に一般化 μ 函数と q-Hermite 多項式(函数)の関係を述べる.

第2部 発展編 土見怜史

本講演の後半では, 前半で導入された一般化 μ 函数の可積分系に関する応用を2つ紹介する. 1つ目の内容は高階 q 差分方程式に関するもので, 一般化 μ 函数は因子化された高階 q 差分方程式の解としても現れることを述べる. そして2つ目の応用として, 一般化 μ 函数が q-Painlev\'{e}方程式の最も重要な函数である τ函数と密接に関係することを述べる.