研究トピックス

左利きの魚は獲物の左から襲撃を開始する
鱗食魚の捕食戦略に隠された「利き」役割を解明

 行動神経生物学系の竹内勇一准教授と福富又三郎助教らの研究グループは、アフリカ・タンガニイカ湖に生息する鱗食魚 Perissodus microlepis を対象に、捕食行動を詳細に解析しました。本種は他の魚の鱗だけをはぎ取って食べる特殊な魚で、口の形が左右どちらかにねじれています。この左右差は「利き(側方化)」に対応しており、左利きの個体と右利きの個体では攻撃する方向が異なることが知られていました。

 本研究では、人工知能(AI)を用いた動画解析技術「DeepLabCut」により、捕食魚と獲物の動きを同時に追跡しました。その結果、口の左右差は襲撃方向だけでなく、襲撃を開始する位置にも影響することを発見しました。左利きの個体は獲物の左側から、右利きの個体は右側から襲撃を開始する傾向を示しました。さらに、鱗食魚には、獲物の後方から接近する「後方接近」と、側方から素早く突進する「側方接近」という2種類の捕食戦略が存在することも明らかになりました。この結果は、昨年報告した「利き眼」による捕食行動制御の研究(☞ 鱗食魚には利き眼がある -生存に有利- ~動物の利きメカニズムに迫る~)とも関連している可能性があります。

 本研究は、動物の「利き」が運動の実行だけでなく行動計画の段階にも関与する可能性を示すとともに、捕食者と被食者の進化的な駆け引きを理解する新たな手がかりを提供するものです。

 なお、本研究成果は、2026年7月20日(月)に生物学専門誌 Biology Open にてオンライン掲載されました。

タンガニイカ湖に生息する鱗食魚 Perissodus microlepis(左)。他の魚の体表の鱗をはぎ取って食べる特殊な捕食魚で、口の形に左右差(利き)がある。本研究では、この利きが攻撃方向だけでなく、獲物への接近位置にも影響することを明らかにした。

論文情報
論文名:Prey capture strategies relate to prey position in the scale-eating cichlid Perissodus
microlepis (鱗食魚 Perissodus microlepis における捕食戦略と獲物位置との関係)
著者名:小池魁1、福富又三郎2、竹内勇一21北海道大学水産学部海洋生物科学科、2北海道大学
大学院理学研究院)
雑誌名:Biology Open(生物学の専門誌)
DOI:10.1242/bio.062699

プレスリリース → https://www.hokudai.ac.jp/news/2026/07/post-2371.html
関連するプレスリリース → https://www.hokudai.ac.jp/news/2025/07/—.html