研究者情報

松島 俊也

教授

MATSUSHIMA Toshiya

行動から脳を知る・脳から行動が分かる

生物科学部門 行動神経生物学分野

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研究テーマ

認知脳科学と行動生態学と結びつける研究を進めています。鳥の採餌行動に着目して、動物の意思決定がどれほど経済原則(自己利益の最大化)にしたがっているか、どれほど経済原則から逸脱しているか、を調べています。

研究分野認知脳科学, 行動生態学, 神経生理学, 神経解剖学, 神経経済学, 進化生物学
キーワードヒヨコ, 意思決定, 価値, コスト, 利潤率原則, 大脳基底核, 労働投資, 競争採餌

研究紹介

 鳥を主な対象として、認知脳科学と行動生態学を結び付ける研究を進めています。特に採餌行動に着目して、動物の意思決定がどれほど経済原則(自己の利益を最大化すること)に従っているか、を調べています。現実には、人間を含め多くの動物の行動が、経済的な合理性から逸脱し、自らの利益を下げるように行動します。働く時には、将来の大きな(しかし不確実な)利益のために、コストを払い続けます。時には酒や薬に溺れ、直近の快楽のために死に向って突き進みます。あるいは、他者の利益のために自己の利益を犠牲にします。これらすべてに、生物学的な理由があるらしいのです。ある場合は淘汰の結果、別の場合は進化の無意味な残滓として、我々に備わったものです。鳥の行動の詳細な解析を通して、人間を含む動物一般にある普遍的な原則と、神経基盤(脳内機構)を調べています。最近は、主観的な価値の予期推定、リスクとコストの推定、他者との競争が意思決定(衝動性や労働投資)に及ぼす影響など、様々な行動と脳の関係を、主に大脳と基底核の中に探っています。
心とはつかみにくいものです。あなたが何を思うのか、私自身が何を考えているのか、私には本当には分かっていません。わからないままに行動をしながら、見事に世代を重ねてきたのが、動物の実相でしょう。自己の利益にならぬことへ誘う罠として、私の中に作りこまれた幻影を、「心」と呼ぶのかもしれません。目の前に可愛い子供がいる。口の中にはおいしい餌がある。この餌を吐き出して(自分自身の利益に反して)子供に与える時、動物のなかには、子供への愛情を映写するためのスクリーンが必要でした。その装置として、動物には脳という器官が備わったのかもしれません。私たちは、脳のニューロンとその回路の中に、心の映像を映し出す装置を読み取ろうと、さまざまな試みをしています。心理学も経済学も必要です。数学的な考えも、物理的な計測も必要です。むろん、生態学も進化学も学ばねばなりません。心という現象を理解するために何が必要か、日々、考えています。ご一緒にいかがですか?