研究者情報

野嵜 龍介

教授

NOZAKI Ryusuke

液体と生命現象の物理学

物理学部門 電子物性物理学分野

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研究テーマ

液体の物理的定式化と生命現象ダイナミクス素過程に関する基礎研究

研究分野複雑液体物理学
キーワード過冷却液体, ガラス転移, 水素結合性液体, 生体関連物質水溶液, 超広帯域誘電分光

研究紹介

気体と結晶固体の中間に位置する液体は、分子間相互作用が無視できないばかりか構造が時間とともに変化する大変複雑な系です。通常の液体だけでなく、過冷却液体・ガラス・溶液など非晶凝縮系全体を複雑液体と呼びます。物理学において、実在の結晶固体や気体は、それぞれ理想固体(結晶構造は時間塩化しない)や理想気体(分子間相互作用がない)を起点に摂動を導入して理解することができます。しかし、液体ではそのような方法は使えません。物理学における液体の定式化は未解決なのです。そのような中で、液体の分子運動における普遍性を見出し、定式化の踏み台にしようというのが私たちの研究です。
液体に普遍的な現象の一つに過冷却液体のガラス転移があります。通常、液体は温度の低下とともに結晶化して固体に相転移します。しかし、冷却速度を大きくしたり、液体を構成する分子の分子間相互作用を複雑にすると、凝固点(融点)で結晶化が起こらず、過冷却液体に移行します。さらに冷却を続けると硬いガラスになります。このような変化を過冷却液体のガラス転移と呼びます。ガラスは分子運動が止まった硬い固体ですが、分子配列は液体そっくりです。なぜこのようなガラス転移が起こるかは物性物理学における大きな未解決問題とされています。私たちは、液体における高速な分子運動が過冷却液体で減速され、ガラスでは止まった様に見えるガラス転移現象を分子運動の側面から研究し、ガラス転移の分子論的起源に迫ろうとしています。

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ガラス転移の概念図
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広帯域誘電分光測定で得られる誘電損失により、ミクロな分子運を広帯域観測できる。ピークは分子運動の速さに対応。(過冷却ソルビトール、Nozaki et.al. J. Non-Cryst. Solids 307–310 349 (2002))
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研究に関して報道関係の取材を受けることもあります。(写真はNHK)
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産業界へも協力します。研究を進めるにあたって開発した各種実験装置・測定器具の中には広く異分野あるいは各種産業界で有効利用できるものが少なくありません。しかし,理学研究院で基礎科学研究に携わる我々にとって産業界は遠い存在です。イノベーションジャパンへの出展は,自分たちと産業界の架け橋を作ってくれます。理学研究院で開発された技術シーズの存在を企業等に知ってもらうだけでなく,企業が導入する際に解決されなければならない課題も明らかになります。

代表的な研究業績

Hierarchical viscosity of aqueous solution of tilapia scale collagen investigated via dielectric spectroscopy between 500 MHz and 2.5 THz
2017 | journal-article
Dielectric spectroscopy study on ionic liquid microemulsion composed of water, TX-100, and BmimPF(6)
Journal of Chemical Physics
2012 | journal-article
Model of the cooperative rearranging region for polyhydric alcohols
Physical Review E
2011 | journal-article
Difference and similarity of dielectric relaxation processes among polyols
Physical Review E
2003 | journal-article
Dielectric properties of polymer/ferroelectric ceramic composites from 100 Hz to 10 GHz
Macromolecules
2001 | journal-article
学位理学博士
学歴・職歴1987年 早稲田大学大学院理工学研究科物理学及び応用物理学専攻博士課程修了
1985-1988年 早稲田大学理工学部応用物理学科助手
1988-1992年 ケベック大学PD、研究員
1992- 北海道大学
所属学会International Dielectric Society
居室理学部5号館