研究者情報

山下 正兼

教授

YAMASHITA Masakane

生命の連続性と多様性の源を探る

生物科学部門 生殖発生生物学分野

basic_photo_1
研究テーマ

魚類と両生類を用いた卵母細胞の形成と成熟及び精子形成の分子細胞レベルの仕組みの解明

研究分野生殖生物学, 発生生物学, 動物学, 細胞生物学, 生化学, 分子生物学
キーワードメダカ, ゼブラフィッシュ, 卵母細胞, 精子, 受精, 胚発生, 伝令RNA, 翻訳調節

研究紹介

我々ヒトを含む有性生殖を営む生物にとって,生殖細胞 (卵と精子) を作り,それらを受精させることは,個体の持つ限られた寿命を越え,種を永遠に存続させるために必須の過程です。また,これらの過程で起こる遺伝子の再編は,生物に多様性を与え,今日の多種多様な種を生み出した主要な原動力になっています (写真「生殖細胞は生命の連続性と多様性の源」参照)。生殖細胞がどの様な制御のもとで形成され,受精可能になるかを解明することは,生命科学に課せられた基本命題の一つで,その応用は人工受精,避妊,有用生物種の作出など,我々の生活に深く関係する種々の生殖操作に直結します。このように,生殖生物学は生命の連続性と多様性を保証する仕組みの探求という純粋科学的側面と,生殖を人為的にコントロールする技術の開発という応用科学的側面を持ち,クローン動物に代表されるように,社会的関心も高い発展途上の学問分野です。
当研究室は1993年に設立され,主に魚類と両生類を実験材料に,生殖細胞が作られ,成熟し,受精する仕組みを,分子生物学及び細胞生物学的手法 (遺伝子組換え,遺伝子・蛋白質発現解析,細胞培養など) を駆使して研究しています。本研究室で現在行われている主要な研究テーマは以下のとおりです。
1 卵形成・卵成熟 (及び体細胞分裂と減数分裂) のマスター調節因子である卵成熟促進因子 (MPF) の形成,活性化,作用の分子機構の解明(写真「ゼブラフィッシュ卵母細胞の動物極付近の組織切片像」「卵成熟の分子機構」参照)
2 細胞培養系を用いた精子形成の制御機構の解析(写真「試験管内で再現されたメダカの精子形成」参照)
本研究室ではこれまで,キンギョ,メダカ,ゼブラフィッシュ,アフリカツメガエル,ニホンアカガエルをはじめ,他の研究グループと共同で,三倍体ドジョウ卵,雌だけで生殖する雌性発生ギンブナ卵,ウナギ精巣,イモリの卵と精巣,ブタやマウスなどの哺乳類の卵などを実験材料に,生殖細胞の形成と成熟に関する研究をしてきました(写真「実験動物」参照)。近年は北海道における漁業の主要産物であるホタテの養殖に関わる仕事にも関わっています(写真「ホタテガイ幼生の特異的染色」参照)。

study-image-0
生殖細胞は生命の連続性と多様性の源
study-image-1
ゼブラフィッシュ卵母細胞の動物極付近の組織切片像。CA, 表層胞; EC, 卵殻; GV, 卵核胞 (卵母細胞の核); MP, 卵門 (精子侵入部位); YG, 卵黄粒。
study-image-2
卵成熟の分子機構
study-image-3
試験管内で再現されたメダカの精子形成
study-image-4
実験動物
study-image-5
ホタテガイ幼生の特異的染色。特異抗体による免疫染色により,ホタテガイ幼生だけが濃い紫色に染色されている。

代表的な研究業績

Staufen1, Kinesin1 and microtubule function in cyclin B1 mRNA transport to the animal polar cytoplasm of zebrafish oocytes. K. Takahashi, K. Ishii, and M. Yamashita, Biochem. Biophys. Res. Commun., 2018, 503, 2778-2783.
ホタテガイ幼生分布調査に有用な免疫染色技術の実用的改善. 清水洋平,狩野俊明,成田伝彦,板倉祥一,榎本洸一郎,戸田真志,川崎琢真,高畠信一,岩井俊治,山下正兼, 北海道水産試験場研究報告, 2016, 89巻1-8. https://www.hro.or.jp/list/fisheries/marine/att/kenpou89hotate.pdf
Immunoreactive insulin in diabetes mellitus patientsera detected by ultrasensitive ELISA with thio-NAD cycling, E. Ito, M. Kaneda, H. Kodama, M. Morikawa, M. Tai, K. Aoki, S. Watabe, K. Nakaishi, S. Hashida, S. Tada, N. Kuroda, H. Imachi, K. Murao, M. Yamashita, T. Yoshimura and T. Miura, BioTechniques, 2015, 59, 359-367.
Real-time imaging of actin filaments in the zebrafish oocyte and embryo, Y. Nukada, M. Horie, A. Fukui, T. Kotani and M. Yamashita, Cytoskeleton, 2015, 72, 491-501.
Possible involvement of insulin-like growth factor 2 mRNA-binding protein 3 in zebrafish oocyte maturation as a novel cyclin B1 mRNA-binding protein that represses the translation in immature oocytes, K. Takahashi, T. Kotani, Y. Katsu and M. Yamashita, Biochem. Biophys. Res. Commun., 2014, 448, 22-27.
basic_photo_2

関連産業分野

水産学, 医学, 薬科学
学位理学博士
学歴・職歴1979年 北海道大学理学部動物学科卒業
1981年 北海道大学大学院理学研究科修士課程修了
1984年 北海道大学大学院理学研究科博士課程修了
1989年 岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所助手
1993年 北海道大学理学部助教授
1998年 北海道大学大学院理学研究科教授
所属学会日本動物学会
居室理学部5号館 5-1108号室