線形代数学 I (1年1学期)

授業題目
行列と行列式
授業の概要(授業の目標)
行列および行列式の性質や役割について講義する. 行列と行列式の演算および行列の基本変形(掃き出し法)を扱い, 連立1次方程式や解法や逆行列の計算法を講義する. 基本変形と基本行列との関連も解説する.
到達目標
行列と行列式の演算および行列の基本変形(掃き出し法)に習熟する. 連立1次方程式の解法や逆行列の計算法を理解する. 基本行列の役割と基本変形との関係を理解する. また, 行列の余因子展開やクラメ−ルの公式を理解する.
授業計画
  1. 行列:定義と演算(和・スカラ−倍・積), 行列の転置
  2. 連立1次方程式の理論 : 消去法, 掃き出し法, 解空間, 基本変形と基本行列
  3. 行列の階数 : 基本変形と計算
  4. 逆行列, 掃き出し法
  5. 行列式 : 定義と基本的な性質
  6. 余因子行列と余因子展開, クラメ−ルの公式
  7. 時間に余裕があれば $\mathbf{R}^n$ の線形変換にも触れる ($\mathbf{R}^2$ における回転や折り返しの例と行列の関係, 2次行列に おいて行列式と面積との関係など)
キ−ワ−ド
行列, 連立1次方程式, 基本変形, 階数, 行列式, 逆行列
備考
: 計算練習などにも取り組む. \\ 高校で行列を習っていない学生が多数受講することを想定し,学生が行列の演算 (和・スカラー倍・積)を確実に実行できるようになるために,十分な計算練習 を設定する.
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微分積分学 I (1年1学期)

授業題目
: 微分法
授業の概要(授業の目標)
: 数列の挙動や関数の微分法についての講義を行う. 講義の前半では, 数列や1変数関数の微分法について高校で扱ったことを 体系的に整理し, 新しい概念や定理の補充を行う. 講義の後半では, 多変数関数(主に2変数関数)の微分法やその応用について講義する.
到達目標
: 講義の全体を通して, 数列の極限や1変数関数や多変数関数の連続性や微分可能性 についての理解を深めるとともに, 科学の諸分野で起こ る問題を数学的に定式化し, 解決する能力を養うことを目標とする. 具体的には数列の極限を理解し, 1 変数および多変数の微分法に習熟し, 近似値, 極限値, 極大・極小などを微分法を用いて関数を計算し, 関数の性質を具体的に調べる力を養う.
授業計画
: {\bf 数列と関数}
  1. 実数の連続性, 数列の収束, 発散
  2. 関数の連続性, 連続関数の性質, 逆3角関数
{\bf 1変数関数の微分法}
    \setcounter{enumi}{2}
  1. 微分係数の定義と導関数, 逆関数の微分法, 媒介変数による微分法
  2. 平均値の定理, 高次の導関数とテイラ−の定理 , 不定形の極限
{\bf 多変数関数の微分法}
    \setcounter{enumi}{4}
  1. 点集合(距離, 開(閉)集合, 領域等), 関数の極限と連続性
  2. 偏微分, 全微分可能性, 合成関数の微分法, テイラ−の定理
  3. 写像とヤコビアン, 陰関数定理
  4. 極値問題, ヘッセ行列 , 多変数関数のグラフ
キ−ワ−ド
: 数列, 収束, 関数, 極限, 微分, 偏微分, テイラ−の定理
備考
: 計算中心の微積分の講義を行う. $\epsilon-\delta$論法, 等の高度な議論は (部分的に行うにしても)最小限に留める.

入門線形代数学 (1年1学期)

授業題目
: 行列入門
授業の概要(授業の目標)
: 主に文科系学生を対象とする線形代数の入門講義である. 行列についての基礎を初歩から講義する.主に2次の正方行列について, 行列の演算,行列式と逆行列の扱い,行列と連立1次方程式の関係を講義する. 2次行列と平面上の線形変換やその固有値も解説する.
到達目標
: 2次行列の基本性質や計算を身につける. 連立1次方程式や線形変換との関連を理解する. 平面における線形変換の例を計算できる. 線形代数学 I の履修のために十分な予備知識,考え方,計算力を身につける.
授業計画
:
  1. 行列:定義と演算(和,スカラ−倍,積)
  2. 2次の行列式と逆行列
  3. 行列と連立1次方程式
  4. 行列と平面の線形変換,ベクトルの内積と直交変換,合同変換,相似変換
  5. 線形変換の固有値と固有ベクトル, 行列の対角化
キ−ワ−ド
: 連立1次方程式, 逆行列, 固有値, 固有ベクトル
備考
: 行列の定義や演算は一般次数の場合を扱う. シグマ記号, 弧度法,など学生の予備知識に配慮する. {\bf 入門線形代数学は数学科志望の学生は通常履修しない.}

入門微分積分学 (1年1学期)

授業題目
: 微分積分入門
授業の概要(授業の目標)
: 主に文科系学生を対象とする微分積分学の入門講義である.具体的な関数について 関数の極限と連続関数の概念を述べた後,1変数関数の微分法と積分法を述べる.様々 な関数の微分と積分の計算法を学び,その応用として,具体的な 1変数関数の極大・極小,図形の面積や回転体の体積を扱う.
到達目標
: 具体的な1変数関数の微積分に関する基本的な知識の習熟を目標とする. 微分積分学 I の履修のために必要な基礎知識と考え方を養い,計算力を身 につける.
授業計画
:
  1. 関数と極限 : 関数(分数関数,無理関数,弧度法と3角関数, 逆関数と合成関数), 数列の極限,関数の極限,連続関数
  2. 微分法 : 微分係数と導関数,積,商の導関数,合成関数と逆関数の導関数,3角関数,指数関数, 対数関数の導関数,高次導関数, 応用(接線と法線,関数の増減,速度と加速度)
  3. 積分法 : 不定積分と定積分,置換積分,部分積分, 応用 (面積,回転体の体積)
キ−ワ−ド
: 極限,1変数関数,微分,積分
備考
: $\epsilon-\delta$論法は行わず, "限りなく近づく"方式の収束を定める. 学生の予備知識に特に留意する. {\bf 入門微分積分学は数学科志望の学生は通常履修しない.}
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線形代数学 II (1年2学期)

授業題目
: ベクトル空間と線形写像
授業の概要(授業の目標)
: 線形代数学Iの科目内容に続いて, ベクトル空間と線形写像について基礎理論を講義する. 行列と連立1次方程式の理論を, ベクトル空間の概念を基礎とした線形写像を用いて 記述する. 正方行列の固有値, 固有ベクトルについて講義する. 特に 対称行列を対角化する理論および計算法を述べる. 線形写像の行列表現について述べ, 特に線形変換が表現行列の 固有値, 固有ベクトルを通じて理解されることを述べる.
到達目標
: ベクトル空間や線形写像の概念や基本的事項を理解する. 行列とベクトルによる具体的な取扱いに習熟する. 連立1方程式の解空間を上記の立場から理解する. 行列(3次, 4次程度)の固有値, 固有ベクトルについて 具体的に計算できる.
授業計画
:
  1. ベクトル空間:定義と例, 部分空間
  2. 線形独立と線形従属, ベクトル空間の次元と基底
  3. 線形写像:基底と表現行列, 基底の変換
  4. 線形写像の核と像と階数, 次元定理
  5. 行列および線形変換の固有値と固有べクトル
  6. 内積空間:定義と例, ノルム, シュワルツの不等式, 3角不等式
  7. 空間の部分空間と直交補空間, グラム・シュミットの直交化
  8. 対称行列の対角化と2次形式
キ−ワ−ド
: ベクトル空間, 線形写像, 線形独立, 基底, 固有値, 固有ベクトル, 対角化
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微分積分学 II (1年2学期)

授業の題目
: 積分法
授業の概要(授業の目標)
: 積分法についての講義を行う. 講義の前半では, 1変数関数の積分法について高校で扱ったことを 体系的に整理し, 新しい概念や定理の補充を行う. 講義の後半では, 多変数関数の積分法やその応用について講義する.
到達目標
: 講義の全体を通して, 1変数関数の 理論がどのように多変数関数の理論に拡張されるかについての理解を深める とともに, 科学の諸分野で起こる問題を数学的に定式化し, 解決する能力を 養う. 1 変数および多変数の積分法に習熟し, 定積分, 原始関数, 線績分, 面積, 体積, 曲面積などを具体的に計算できる力を養う.
授業計画
: {\bf 1変数関数の積分法}
  1. 定積分の定義と性質
  2. 原始関数, 微分積分学の基本定理
  3. 広義積分の定義とその収束の条件
  4. ガンマ関数, ベ−タ関数
{\bf 多変数関数の積分法}
    \setcounter{enumi}{4}
  1. 重積分の定義とその性質(主として 2,3次元)
  2. 重積分の計算法(累次積分, 変数変換による積分など)
  3. 広義積分の定義と計算例
  4. 重積分の応用(体積, 曲面積, 線積分とグリーンの定理など)
キ−ワ−ド
: 原始関数, 積分, 重積分, リ−マン和, 変数変換
備考
: 計算中心の微積分の講義を行う. $\epsilon-\delta$論法, 等の高度な議論は (部分的に行うにしても)最小限に留める.
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数学概論 (微分方程式入門)(2年1学期)

授業題目
: 微分方程式入門
授業の概要(授業の目標)
: 微分方程式の基礎について講義する.基本的な微分方程式の 具体的解法を述べる. 科学の諸分野で起こる問題を数学的に定式化し解決するための基本的手法を講義する.
到達目標
: さまざまなタイプの基本的な微分方程式の解法を修得し,具体的な方程式の解が求められるようになること. 本講義を通して,関連する微分積分学や線形代数学のさまざまな事項への理解を深めると同時に, 微分方程式の背景や他の数学分野との関連なども知る.
授業計画
: 次の項目より選んで講義を行う.
  1. 求積法による解法(変数分離形, 同次形, 1階線形, 定数変化法)
  2. 微分方程式の具体例(ニュートンの運動方程式,電気回路, 単振動, 連成振動など)
  3. 完全系の微分方程式(ポテンシャル関数の存在とその求め方)
  4. 演算子法
  5. 定数係数連立1階線形方程式の初期値問題(未知数が2個,方程式が2個の場合など)
キ−ワ−ド
: 微分方程式, 求積法, 変数分離形, 運動方程式

数学概論 (級数入門)(2年1学期)

授業題目
: 級数入門
授業の概要(授業の目標)
: 数列の収束, 無限級数の収束の定義を$\epsilon-\delta$論法によって 与え, 収束に関する基本的な性質を示す. またベキ級数の 収束や収束半径を論じる. いくつかの応用についても 講義する.
到達目標
: $\epsilon-\delta$ 論法を身につけ, 数列の収束について定義から 理解する. また基本的な課題を解決できる. 級数の収束発散について 理解する. 級数の収束発散について判定できるようになる.
授業計画
:
  1. 数列や級数の収束や発散についての定義と基本性質
  2. 正項級数と絶対収束, 条件収束
  3. ダランベ−ル, コ−シ−の判定条件, 優級数の方法, 積分判定法
  4. テイラ−展開, ベキ級数, 収束半径
  5. 関数列, 一様収束, 関数項級数, フ−リエ級数
  6. (時間があれば) 応用的な話題: 項別微分(線形微分方程式の級数解法), 項別積分の応用
キ−ワ−ド
: 数列, 級数, 収束, $\epsilon-\delta$ 論法, テイラ−展開
備考
: 微分積分学 I, II の内容を仮定する.
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代数学・幾何学序論 (2年1学期)

授業題目
: 空間図形, 複素数と複素平面, 集合と写像入門
授業の概要(授業の目標)
: ユークリッド空間の初等的な空間図形とベクトル, 内積などの幾何, 複素 数と複素平面の図形や写像の性質, 集合や写像の基礎及び線形 変換などの具体例について学ぶ.
到達目標
: 空間内の直線,平面,球などの図形をベクトルや座標で表し,計算や論証 を行うことができる.複素数や複素平面に関する計算を身につけ,図形 を扱うことができる.回転や対称移動などを行列で表すことができる. ベクトル, 行列, 線形変換の幾何学的なイメージを持てるようになる. 集合と写像の扱い方の基礎を身につける.
授業計画
:
  1. 空間図形と空間ベクトル\\ 内積, ノルム, 直線の方程式, 平面の方程式, 球面の方程式と接平面, 法ベクトル, 空間ベクトルの正射影, 図形同士の関係 (距離, 接触), 面積・体積と外積(行列式)
  2. 複素数と複素平面\\ 複素数の演算と幾何,2次方程式,複素平面(極形式, ド・モアブルの 公式, 1 の$ n$乗根,リーマン球面と立体射影など)
  3. 集合と写像の基礎及び具体例 \\ 集合算 (和,交わり,直積),写像 (単射,全射),逆像,合成写像, 行列と変換の例(線形変換:回転と対称移動,合同変換),同値関係の例 (対称性と変換,整数の剰余類)
キ−ワ−ド
: 空間図形,複素平面,集合,写像,行列と変換
備考
: 課題に取り組む時間を設ける.
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微分積分学続論(2年1学期)

授業題目
: 微分積分学続論
授業の概要(授業の目標)
: 微分積分学 I, II に引き続いて微分積分学の広がりや豊かな面を例示しながら, その応用を講義する. 主に微分方程式の基本的な解法とラプラス変換を解説する. 残りの時間では力学や幾何学等に関連する具体的な課題など 微分方程式の代表的応用例を解説する.
到達目標
: 微分積分学の知識を活用し微分方程式の理論を学び, そこに現れる数学的概念を修得し応用ができるようになること.
授業計画
: 最初に次の2項目を重点的に講義する.
  1. 微分方程式 (求積法, 変数分離型方程式, 定数変化法, 2階線形方程式)
  2. ラプラス変換と微分方程式への応用
残りの時間で以下の話題から題材を選択して講義する
    \setcounter{enumi}{2}
  1. 積分方程式
  2. 微分方程式の境界値問題
  3. 応用的な課題 (運動方程式, 懸垂曲線, 追跡線, サイクロイド振り子, 等)
キ−ワ−ド
: 変数分離型方程式, 求積法, ラプラス変換

ベクトル解析(2年2学期)

授業題目
: ベクトル解析
授業の概要(授業の目標)
: 部分積分を活用した多変数関数の積分論(ベクトル解析)を講義する. 単純な図形上のなめらかな関数の積分を主に取扱い, 曲線の長さ・曲面 積, また線積分・面積分の概念やそれらの関係式を与える. 厳密な証明よりも, 例を豊富に提示する.
到達目標
: 具体的な図形などの長さや面積など計量の計算に習熟する. 領域や関数に対して発散定理やスト−クスの定理を正しく適用できるようになる.
授業計画
:
  1. 曲線の長さ
  2. 曲面の面積
  3. 線積分, 面積分
  4. グリ−ンの定理
  5. ガウスの発散定理
  6. スト−クスの定理
  7. 応用例(電磁気学, 流体力学の例)
キ−ワ−ド
: 重積分, 線積分, 曲面積分, 発散定理, スト−クスの定理, $\mathrm{div}$, $\mathrm{rot}$, $\mathrm{grad}$
備考
: 微分積分学I, IIの内容を仮定する. $\epsilon-\delta$論法, 等の高度な議論は (部分的に行うにしても)最小限に留める.
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基礎数学A(2年1学期)

授業題目
: 本格的な線形代数学
授業の概要(授業の目標)
: 複素数体上のベクトル空間および線形写像の基礎理論と計算法を講義する. 線形写像の行列による表現やそれによる固有値の計算法や 写像の性質を調べる方法を与える.
到達目標
: 複素数体上のベクトル空間や線形写像の概念を理解し, 行列とベクトル による具体的な取り扱いに習熟する.
授業計画
:
  1. 複素数体上のベクトル空間:定義と例, 部分空間
  2. 線形独立と線形従属, ベクトル空間の次元と基底
  3. 線形写像と表現行列
  4. 線形写像の核と像, 商ベクトル空間
  5. 固有値と固有ベクトル
  6. 行列の標準化
  7. 内積と計量ベクトル空間:定義と例
  8. 正規直交基底とユニタリ行列
  9. エルミ−ト行列の対角化
  10. 正規行列
  11. 双対空間と部分空間の双対性
  12. 双1次形式
備考
: 線形代数学 II は前提としない. 基礎数学演習Aも合わせて履修すること.
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基礎数学B(2年2学期)

授業題目
: 位相
授業の概要(授業の目標)
: 専門的な数学分野を学ぶために必要な集合と写像についての一般理論を講義する. 距離空間と位相空間の理論について講義する. 重要な概念を与え基本的な定理や命題を扱う.
到達目標
: 集合, 写像と位相空間の基礎的な用語と概念を学びそれらを運用できるように なる. 基本的な定理や命題を用いて基本課題を解決できる.
授業計画
:
  1. 集合と写像の基礎: 集合の演算, 写像と演算, 単射, 全射, 逆像, 逆写像, 集合族, 直積集合, ベキ集合, 条件と論理 (代数学・幾何学序論と内容が重複している 部分は復習として扱われ, 主に演習に回される). 可算集合, 非可算集合
  2. 同値関係, 順序関係 : 2項関係(同値, 順序), 同値類, 商集合, 最大元,最小元,極大元,極小元, 上限, 下限, 濃度の説明, 選択公理 (濃度, 選択公理, 整列集合, ツォルンの補題は簡単に触れる)
  3. 距離空間 : $\mathbf{R}^n$ の標準距離と開集合, 閉集合, 一般の距離空間と位相, 写像の連続性, 点列コンパクト, 最大値最小値の定理, コ−シ−列, 関数族
  4. 位相空間: 一般の位相, 開集合系, 基, 第2可算公理, 開被覆, コンパクト性, 連結性と弧状連結, 連結成分, 誘導された位相, 積空間, 商空間, 位相の生成, 位相の強弱, 連続写像と位相
  5. 距離空間(再):完備性, 不動点定理, コンパクト性と点列コンパクト性, アスコリ-アルツェラの定理, ベ−ルの定理
備考
: 代数学・幾何学序論の知識を前提とする. 基礎数学演習Bも合わせて履修すること.
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基礎数学C(2年1学期)

授業題目
: 解析学入門
授業の概要(授業の目標)
: 高校そして全学教育の微分積分学 I,II で計算面を中心に学習し てきた微分積分について, 基礎から本格的に整備する. 数列の収束と極限の概念, 実数の連続公理より導かれる実数の基本的 性質から始めて, 1変数関数に対する微分積分学を理論的に講義する.
到達目標
:
  1. $\epsilon-\delta$ 論法, $\epsilon-N$ 論法による極限に関する議論の習熟
  2. 級数の絶対収束と条件収束の理解
  3. 有界閉区間上の連続関数の性質の理解
  4. 平均値の定理, テイラ−の定理の理解
  5. 定積分の定義と微積分学の基本定理の理解
  6. 広義積分の理解
  7. 一様収束と一様収束関数列の性質の理解
  8. ベキ級数の性質の理解
授業計画
:
  1. 実数の基本的性質: 実数の公理, 上限と下限, 数列の収束の定義, $\epsilon-N$ 論法, コーシー列, 完備性
  2. 級数の収束性: 絶対収束, 条件収束, 収束の判定法
  3. 関数の極限と連続関数: 関数の極限, $\epsilon-\delta$ 論法, 連続性, 最大値最小値の定理, 中間値の定理, 一様連続性
  4. 微分可能性, 平均値定理, テイラ−の定理とテイラ−展開, 凸関数
  5. 定積分: 定積分の定義, 可積分性, 微積分学の基本定理
  6. 広義積分: 広義積分の定義, 収束性の判定法
  7. 関数列の収束: 一様収束, 極限の順序交換
  8. ベキ級数:収束半径, 項別微分積分
備考
: 基礎数学演習Cも合わせて履修すること.
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基礎数学D(2年2学期)

授業題目
: 続・解析学入門
授業の概要(授業の目標)
: 基礎数学C(解析学入門)に続いて, 多変数の微分積分について講義する.
到達目標
:
  1. 多変数関数の極限と連続性の理解
  2. 多変数関数の全微分,偏微分と相互関係の理解
  3. 平均値定理, テイラ−の定理の理解
  4. 陰関数定理, 逆写像定理の理解
  5. 多変数関数の極値問題の解法の理解
  6. 有界閉区域上の積分と性質, 連続関数の可積分性の理解
  7. 広義積分の収束判定法の理解
  8. 線積分, 曲線の長さ, 面積分, 曲面積の理解
授業計画
:
  1. 多変数関数の極限, 多変数連続関数の性質
  2. 多変数関数の微分, 全微分, 偏微分, $k$ 回連続可微分関数
  3. 平均値定理, テイラ−の定理
  4. 陰関数定理, 逆写像定理
  5. 多変数関数の極値問題の解法, ラグランジュの未定乗数法
  6. 多変数関数の積分: 有界閉区域上の積分の定義とその性質, 連続関数の可積分性, 一般集合 上の積分, 積分の変数変換公式
  7. 広義積分の定義と広義積分の収束判定法
  8. 線積分, 曲線の長さ, 面積分, 曲面積の定義, グリ−ンの定理, ガウスの発散定理, スト−クスの定理
備考
: 基礎数学演習Dも合わせて履修すること.
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コンピュ−タ (2年2学期)

授業題目
: コンピュータ
授業の概要(授業の目標)
: 高級言語を利用した計算機プログラムの基本と 数式を含む文書処理を, 実習を中心に扱う. プログラム実習に当っては必要な概念を示し, いかなる言語を扱う立場になっても円滑なプログラミングをできる技 術について解説する. 数式を含む文書処理においては, 困難なく基本的 なレポート等を作成する技術について説明し, 数式の組版に必要な背景技術 について述べる.
到達目標
: 授業で示したプログラム言語を利用して小規模なプログラムを自ら作成できるよ うになることを目標とする. また, 常に計算量の低いアルゴリズムを選択する ことを意識する.
授業計画
: 以下の内容について実習と講義を行う.
  1. コンピュ−タア−キテクチャの初歩
  2. 高級言語の紹介
  3. 数値計算の初歩
  4. 数式, 図を含む文書処理の初歩
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代数学基礎(3年1学期)

授業題目
: 代数系の基礎
授業の概要(授業の目標)
: 群, 環の準同型定理を中心として群, 環, 体に関する基本事項を扱う.
到達目標
: 群, 環, 体の基本的な実例を学ぶことによって各代数系の基礎知識 を身につけ, 抽象代数学に慣れる.
授業計画
: 以下の内容を適宜組み合わせて講義する(この順番とは限らない)\par 一般的事項として:同値関係と剰余空間, および直積\par 群論の基礎として:
  1. 群, 部分群, 正規部分群, 剰余群, および 群の準同型定理
  2. 元の位数, 群の位数, 部分群の指数, フェルマ−・オイラー・ラグランジュの定理
  3. 群の例として: 巡回群(有限, 無限), 対称群, 交代群, 一般線形群, 特殊線形群, 直交群, ユニタリ群, 環の単数群
環論の基礎として:(主として可換環を扱う)
  1. 環, 部分環, イデアル, 剰余環, および環の準同型定理
  2. 素イデアル, 極大イデアルと整域, 体
  3. 環の例として: 有理整数環, 体上の1変数多項式環 (ユ−クリッドの互除法, アイゼンシュタインの既約判定法), 行列環
体論の基礎として:
  1. 体と標数, 素体
  2. 有限次拡大と拡大次数
  3. 代数拡大の例(2次拡大, 円分体(1の素数分点の体のみ), $n$ 乗根の体), 超越拡大の例(有理関数体)
備考
: 代数学基礎演習を合わせて履修すること.
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幾何学基礎(3年1学期)

授業題目
: 曲線と曲面の幾何学
授業の概要(授業の目標)
: 曲線や曲面の微分幾何・位相幾何的な取り扱いに慣れ,多様体をはじめとする 現代幾何学の諸概念を自然に受け入れられるようになることを目標とする.
到達目標
: 曲線や曲面の曲率を実際に計算できるようになる.商(位相)空間の定義を理 解し,閉曲面の分類やオイラー数を理解する.さらに,微分幾何学と位相幾何 学を結びつける重要な定理であるガウス・ボンネの定理を理解する.
授業計画
:
  1. 曲線.フルネ・セレの公式と曲率
  2. 曲面.第1基本形式・第2基本形式と曲率
  3. 曲面上の曲線,測地線
  4. 商位相.閉曲面の構成と分類
  5. 曲面の三角形分割とオイラー数(幾何学B,Cへの導入)
  6. ガウス・ボンネの定理
  7. 多様体の定義(幾何学Aへの導入)
備考
: 幾何学基礎講究を合わせて履修すること.

幾何学基礎講究(3年1学期

授業題目
: 幾何学基礎講究
授業の概要(授業の目標)
: 「幾何学基礎」の授業計画にそって,証明および計算の演習をする. 「幾何学基礎」で講義される内容をより深く理解し,具体例について学ぶ.
到達目標
: 曲線や曲面の曲率を実際に計算できるようになる.閉曲面の分類やオイラー数, ガウス・ボンネの定理を理解する.
備考
:幾何学基礎を合わせて履修すること.
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解析学基礎A(3年1学期)

授業題目
: 複素関数論入門
授業の概要(授業の目標)
: 複素関数の微分積分の基礎を講義する. 複素領域の各点で複素微分可能な関数は 正則関数と呼ばれる. 正則関数に関する条件は, このように非常に素朴であるが 実に多くの有用な命題や定理を生む. その第1はコ−シ−の積分定理である. 驚くべきことに, 複素関数にコーシーの積分定理の性質を仮定すると自然に正則関数と なる. このように正則性は著しい性質と言える. 一方, これらの定理が数学から物理学・工学にいたる広範な領域において 基礎的な知識となっている. 授業では, コーシーの 積分定理, 積分公式, テイラ−展開などを中心に正則関数の基本的諸定理や性質を 解説する. 重要な関数の例を示しその計算を行う. 留数定理やその応用として, 基本的な定積分の求め方を解説する.
到達目標
: 正則関数の基本的諸定理や性質を理解すること. また, 留数を用いて簡単な定積分の計算ができるようになること.
授業計画
:
  1. 初等関数:指数関数, 対数関数など
  2. 正則関数の基本的性質:コ−シ−・リ−マンの方程式, 調和関数
  3. 複素線積分とコ−シ−の積分定理, コ−シ−の積分公式
  4. テイラ−展開
  5. 留数定理と定積分への応用
備考
: 解析学基礎演習Aを合わせて履修すること.
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解析学基礎B(3年2学期)

授業題目
: ルベ−グ積分論
授業の概要(授業の目標)
: リ−マン和の極限として得られるリ−マン積分は, (滑らかな)具体的な関数の積分を計算する上では便利であった. そしてある程度性質の良いクラスの関数に関する積分論は確立し, 多くの計算がされ解析学の有用な理論が出来てきた. ところが解析学がさらに高度化し多くの(滑らかさの乏しい)関数 や関数族を扱う必要が生じてきた. そして関数列の極限操作や積分操作と関係を 理論化することが必要となってきた. この過程において 広いクラスの関数を与え積分の定義が見直された. ルベ−グの積分論はこのようにして建設された. 本講義では ユ−クリッド空間におけるルベ−グ測度やルベ−グ可測関数や 積分やその性質を確立するための基礎的な議論を行う.
到達目標
: ボレル集合, ルベーグ可測集合, ルベ−グ測度零集合の概念の習得, 加法的集合族, シグマ加法的集合族, 加法的集合関数, 積分と極限操作の交換に関する定理の理解とその応用などを習得する. 重積分についてのフビニの定理を理解する.
授業計画
:
  1. 加法的集合族, シグマ加法的集合族, 集合関数, 外測度と可測集合の構成, 可測関数
  2. 可測集合や可測関数の諸性質, 零集合, カントール集合
  3. 収束定理:単調収束定理, ファトゥの補題, ルベ−グの収束定理とその応用
  4. フビニの定理とその応用
  5. リ−マン積分とルベ−グ積分との関係
備考
: 本格的な測度論は解析学Cで扱われる.
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数理科学基礎(3年1学期)

授業題目
: 現象の数理
授業の概要(授業の目標)
: 自然科学の多くの分野において, 数学を活用して現象を記述したり 分析したり予測したりすることによって研究が行われる. 現象を数式の形 に表すことをモデル化という. 広い意味での数学分野ではこのような 自然現象等のモデル化や, そのモデルの数学的解析や計算機等を 利用した数値解析が行われる. これらの領域を数理科学分野という. この授業では代表的な現象に関連する数学モデルや方程式などを紹介し, それを扱うための数学的な手法の基礎および関連する数学のテーマについて 入門的な講義を行う.
到達目標
: 現象の数理モデルの導出を理解する. 数理モデルの数学的, 数値的な扱いについて学ぶ. 数理科学におけるモデルの役割を学ぶ. また研究領域 における課題についての知識を得る.
授業計画
: 以下の内容から選択して講義を行う.
  1. 古典力学のモデル
  2. 熱・波動現象のモデル
  3. カオス現象のモデル
  4. 確率現象のモデル
  5. その他のモデル
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代数学A(3年2学期)

授業題目
: 環論
授業の概要(授業の目標)
: 代数学基礎に引き続き, 環と加群の基礎を扱う. 多様な例を示しながら環とその上の加群についての基礎的概念を解説する. 種々の数学的対象が, 共通する本質を抽出することにより, 汎用性のある強力 な理論に昇華する代数学の基本理念を示す.
到達目標
: 環と加群の基礎概念・基礎理論を身につける. 同時に学んだ理論を正しく適用することにより, 種々の具体例を 的確に扱うことができる能力を養い, 基礎理論への理解を深める.
授業計画
:
  1. 基本的例:有理整数環, 代数的整数の環, 1変数多項式環, 多変数多項式環, 行列環
  2. 環と加群の操作:準同型定理, 環の直積, 加群の直和, 商環, 局所化, 局所環
  3. 一意分解整域, 単項イデアル整域
  4. 環上の加群, 完全系列
  5. 単項イデアル整域上の有限生成加群:単因子, 構造定理

代数学B(4年1学期)

授業題目
: 群論
授業の概要(授業の目標)
: 代数学基礎に引き続き,群論を扱う. 群に関する基本的な概念を解説する. また群の中でも最も基本的な有限生成アーベル群の構造を解説する. 対称群や線形群などの例を通して多様な群の存在を示し,群を具体的に考察する方法を説明する. さらに,群の構造とあわせて,群の作用,行列表示などの問題(表現論)についても解説する. 群がそれ自身を研究対象とするだけでなく, 数学の様々な分野のなかで基本的な考察手段として用いられていることを示す.
到達目標
: 群に関する基本的な概念を理解する. 構造の比較的簡単な群や基本的な群, 位数の小さい群について 具体的な計算が実行できる.
授業計画
:
  1. 群の例: 巡回群, 対称群, 多面体群, 線形代数群
  2. 有限生成ア−ベル群の構造定理
  3. シロ−の定理, シロ−部分群の計算
  4. 群の作用と表現
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代数学C(3年2学期, 4年2学期)

授業題目
: 体論 (ガロア理論)
授業の概要(授業の目標)
: ガロア理論の基礎を講義する. 19世紀前半,ガロアは代数方程式がいつ「根の公式」を持つかとい う基本問題に対して完全な解答を与える体の理論を築いた. そのアイデアは,方程式の係数体にその根を添加した拡大体を, 根の置換のなす群を通して理解することにあった. この講義では,代数学基礎に引き続いて体の拡大について解説した後, ガロアの基本定理を扱う.そこでは,体の拡大とその拡大に関する自 己同型群が見事に対応することを示す.ガロア理論の応用として方程 式のベキ根による解法などについて講義する.
到達目標
: ガロアの基本定理を理解する. ガロア群の計算, 有限体の性質を理解する.
授業計画
:
  1. ガロア拡大:代数拡大, ガロア拡大とガロア群
  2. 基本定理:ガロア理論の基本定理, ガロア群の計算
  3. 有限体:有限体の性質, 有限体の構成
  4. ガロア理論の応用:方程式のベキ根による解法
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代数学続論 (続・環論)(4年1学期)

授業題目
: 続・環論
授業の概要(授業の目標)
: 代数学基礎と代数学A(環論)に引き続き, 環と加群の理論を扱う.
到達目標
: 講義で扱うトピックを通じて環と加群の理論に習熟する. 理論を用いて具体例を理解する.
授業計画
: 次のトピックの中からいくつかを選んで行う
  1. テンソル積とHom
  2. 環と加群のネ−タ−性
  3. 単純環
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幾何学A(3年2学期)

授業題目
: 多様体
授業の概要(授業の目標)
: 現代幾何学における基本的な空間概念である多様体について述べ, 多様体上における微分積分学の基本を講義する.
到達目標
: 可微分多様体の定義, 具体例, 多様体上の可微分関数および写像とその微分, 接ベクトル, 接ベクトル空間, ベクトル場, 余接ベクトル, 余接ベクトル空間, 微分形式, などに関する事柄の習得. これらの概念の理解と具体例における実際の運用を体得する.
授業計画
:
  1. 可微分多様体の定義
  2. 陰関数定理
  3. 多様体上の関数および写像とその微分
  4. 接ベクトル, 接ベクトル空間, ベクトル場
  5. 余接ベクトル, 余接ベクトル空間, 微分形式
備考
: 幾何学演習を合わせて履修することが望ましい.
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幾何学B(3年2学期)

授業題目
: ホモロジー
授業の概要(授業の目標)
: ホモロジ−は様々な図形(位相空間)の位相的・大域的な性質を, ア−ベル群とそれらの間の準同型という代数的な構造で捉える道具である. ホモロジ−論とその幾何学的応用を講義する.
到達目標
: ホモロジ−の概念・手法と幾何学的意味を正しく理解する. ホモロジ−論を適用して, 具体的な空間のホモロジ−群が計算できる. ホモロジ−群がいろいろな問題に応用されることを知る.
授業計画
:
  1. ホモロジ−の定義
  2. ホモトピ−不変性
  3. 空間対のホモロジ−完全系列
  4. 切除定理
  5. マイヤ−・ヴィエトリス完全系列
  6. 球面のホモロジ−
  7. ホモロジ−の応用
備考
: 幾何学演習を合わせて履修することが望ましい.
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幾何学C(4年1学期)

授業題目
: 基本群と被覆空間
授業の概要(授業の目標)
: 基本群は,様々な図形(位相空間)の位相的・大域的な性質を群論を応用して調べるために定義される. この講義では,基本群の基本的な性質,ファン・カンペンの定理などを紹介し,具体的な図形の基本群の 計算法について説明する.また,関連して被覆空間について講義する. さらに幾何学基礎で学んだこととの関連について述べる.
到達目標
: 基本群の概念・手法と幾何学的意味を理解する. 具体的な空間の基本群が計算できるようになる. 基本群と他の幾何学的概念との結びつきを理解する.
授業計画
:
  1. ホモトピ−
  2. 基本群
  3. 群の表示
  4. ファンカンペンの定理
  5. 閉曲面の基本群
  6. 被覆空間の定義と例
  7. 被覆空間の分類定理
  8. オイラ−数の乗法性
  9. 基本群と1次元ホモロジ−群の関係
備考
: 幾何学基礎, 代数学基礎を履修していることが望ましい.
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幾何学続論 (多様体続論・ド・ラムの定理/多様体続論・横断正則性)(4年2学期)

授業題目
: 多様体続論
授業の概要(授業の目標)
: 幾何学基礎, 幾何学A, 幾何学B で扱う基本的な知識をある程度前提にして, より進んだ幾何学の内容を講義する.
到達目標
: 現代幾何学における典型的な理論に触れることを通して, 幾何学的なものの考え方 に慣れながら, 幾何学的方法に益々習熟する.
授業計画
: 次の A,B のふたつのコ−スを隔年で行う. いずれも伝統的に重要な事項で, 以後の幾何学の発展の基になっているものである.
A
: 多様体の向き(orientation), 微分形式の積分, スト−クスの定理, ド・ラムコホモロジ−,ド・ラムの定理,等
B
: 横断正則性, 写像度, ベクトル場の指数, ポアンカレ・ホップの定理(ベクトル場とオイラ−数)等
備考
: 幾何学基礎, 幾何学A, 幾何学Bをすべて履修していることが望ましい.
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解析学A(3年2学期)

授業題目
: 続・複素関数論
授業の概要(授業の目標)
: 解析学基礎A(複素関数論入門)に続き, 複素関数論における基本的な諸定理や理論について講義する. 複素関数論は複素変数の微分積分学と見なせるが, そこに留まらず 正則関数の持つ著しい性質が縦横に効いてきて様々な美しい 定理を生む. また正則関数に関する成果は数学の様々な分野に 関連して生きる. これらは重要な解析的手段を与えるとともに, 幾何学的な対象や力学系を与えることなどにも貢献している. この授業では正則関数, 有理型関数, 等角写像, 調和関数の基本的な 性質や応用について解説する. また複素関数の特異性や大域的な 性質なども扱う.
到達目標
: 正則関数, 有理型関数, 等角写像, 調和関数について基本的性質を理解する.
授業計画
:
  1. 正則関数の基本的性質, 対数関数, 無理関数の多価性
  2. 調和関数, 共役調和関数, 最大値原理, 鏡像の原理, 等角写像
  3. ロ−ラン展開と特異点の分類(孤立特異点, 除去可能特異点, 極, 真性特異点)
  4. 有理型関数, 偏角の原理, ル−シェの定理, リ−マン面の例, 等
備考
: 解析学基礎Aの授業内容が仮定されていることに留意.
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解析学B(3年2学期)

授業題目
: 常微分方程式論
授業の概要(授業の目標)
: 自然現象の多くは微分方程式によって記述される. ニュ−トンが古典力学を体系化し, その後, 微分積分学が発展して行くに従い, 自然現象を 微分方程式を用いて研究する考え方が定着して行った. 現代においては 物理学や工学はもちろんのこと, 生物学や経済学などの多くの数理的な分野に おいて, そこに現れる微分方程式の解析は中心的な役割を演じる. 一方, 数学の様々な研究分野において, 微分方程式の解を調べるという ことが行われれ, それが進展の重要なステップとなることもある. このように微分方程式の基礎は, 様々な分野において非常に重要な役割を 担っている. 本講義では一般の常微分方程式の基礎理論を論じる. まず局所解の存在や一意性を解説する. 次に解の 延長やパラメ−タに関する連続依存性を論じる. 線形微分方程式の解や解空間の構造を論じる. 応用として力学系の理論の初歩の話にも触れる. 特に停留点の回りの解の挙動や安定性などの概念の大まかな 説明を行う.
到達目標
: 常微分方程式の局所解の存在定理や一意性定理の証明を通して, 関数列の収束の概念に対 する理解や積分方程式の扱いを学ぶ. 定数係数の線形方程式系の解法に習熟して行列の標準形, 固有値の重要性を認識する. 力学系の考え方の初歩を身につける.
授業計画
:
  1. 解の存在と一意性定理 : 逐次近似法による解の構成法, 局所解の一意性, 解の接続
  2. 線形方程式: 線形連立方程式の解全体の構造, 定数係数線形微分方程式系の一般解
  3. 力学系の考え方や基本的な概念(停留点, 安定性, 不安定性, 周期解,不変集合) への入門
備考
: 数学概論(微分方程式入門) または 微分積分学続論を履修していることが望ましい.
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解析学C(4年1学期)

授業題目
: 測度論 (一般論)
授業の概要(授業の目標)
: 解析学基礎B(ルベーグ積分論)では $\mathbf{R}^n$ における ルベーグ積分論を扱った. この授業では, さらに一般の集合や空間の上で測度,測度空間, また, その上の可測関数や積分を考える. さらには加法的集合 関数の構造を扱う. このような一般化された測度論は様々な解析学や関連諸分野において 理論の発展に貢献する.たとえば,超関数, 偏微分方程式論, 確率論, などがあげられる.
到達目標
: シグマ加法族と測度,外測度, 可測関数と積分の定義, エゴロフの定理とル−ジンの定理, ラドン・ニコディムの定理, 測度空間に関して理解する.
授業計画
:
  1. シグマ加法族と測度
  2. 外測度と拡張定理, 測度の完備性
  3. 可測関数の基本的な性質, エゴロフの定理
  4. 積分の定義, 基本的な性質
  5. 加法的集合関数, 絶対連続性, ラドン・ニコディムの定理, ルベ−グ分解
  6. へルダ−の不等式, ミンコフスキ−の不等式, $L^p$空間の完備性など
  7. (時間が許せば) ルベ−グ・スティルチェス積分, リースの表現定理, ルベーグの微分定理, ハウスドルフ測度
備考
: 解析学基礎B, 解析学基礎演習Bの内容を前提とする. 収束定理やフビニの定理は, 解析学基礎Bでも特殊な場合ではあるが 触れているので既知とする.
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解析学D(4年1学期)

授業題目
: 関数解析入門
授業の概要(授業の目標)
: 関数解析学の入門的講義を行う. 関数解析の分野においては, 無限次元の線形空間や 作用素の構造が扱われ美しい理論が建設されている. 一方, 関数解析は, 数理物理の分野への応用を与え, また偏微分方程式, 確率論, 数値解析, 幾何学などの分野においては問題を関数空間において定式化し, それを解くための道具や技術を与えている. このように関数解析学は 解析系の諸分野を支える重要な柱としても発展してきた. この授業ではバナッハ空間の定義や例や基本的な性質について論じた後, 基本的でかつ応用範囲の広いヒルベルト空間論を講義する. ヒルベルト空間における諸概念の性質を説明し, 後半ではヒルベルト空間上の有界線形作用素の基礎的な事項を講義する.
到達目標
: バナッハ空間, ヒルベルト空間の基礎的な理論を理解し習熟する. また具体的な例や応用例についての知識を得る. ヒルベルト空間における有界線形作用素の基本的性質について習熟する.
授業計画
:
  1. ノルム空間, バナッハ空間, ヒルベルト空間の定義と例
  2. 正規直交基底, フ−リエ級数(有限区間におけるフーリエ級数の完全性など)
  3. 直交補空間, 射影定理
  4. 有界線形作用素 (エルミ−ト作用素, 正規作用素, 射影作用素等), リ−スの定理
  5. 完全連続作用素, ヒルベルト・シュミットの展開定理
備考
: 解析学基礎B(ルベ−グ積分論)を履修しておくことが望ましい.
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解析学E(4年1学期)

授業題目
: 力学系入門
授業の概要(授業の目標)
: 解析学Bに続き, 非線形の 常微分方程式系(力学系)の取り扱いについて入門的な講義を行う. 位相空間において, 任意に(初期)点を与えるとそれが時間変数の増大に従って 動点として空間を移動して行く, このような仕組みを力学系という. それぞれの力学系において軌道全体の大域的な構造を知ることが力学系理論の 主な目的と言うことができる. 多くの重要な数理現象は非線形の微分方程式系で 記述される力学系としてモデル化される. 授業ではこれらを解析する上で必要な 基礎的諸概念(用語)について講義する. 非線形方程式においては線形方程式の 場合のような一般論は存在しないため取り扱いはやむなく個別的になる. 一方, 大局的な振る舞いを追跡する力学系の理論においては,十分一般的手法が可能 となる. そのような事情を踏まえ,有用な非線形の常微分方程式系を解析する 手法について解説する.
到達目標
: 非線形微分方程式系で記述される現象を解析する上で 必要な基礎的な諸概念(用語)を理解し, 非線形現象から具体的な力学的性質を導く手法を修得する.
授業計画
: 基礎的な諸概念(流れ, ベクトル場, 離散力学系, 平衡点と周期軌道) について述べた後に,次の項目から選んで講義する.
  1. 保存量とハミルトン系
  2. リヤプノフ関数と平衡点の安定性
  3. 周期軌道とポアンカレ写像
  4. 非線形微分方程式系の具体例
  5. カオス的な力学系の例
備考
: 解析学B(常微分方程式論)および数理科学基礎(現象の数理) を履修していることが望ましい.
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解析学F(3年2学期, 4年2学期)

授業題目
: 確率論
授業の概要(授業の目標)
: 確率モデルや統計的方法は, 物理, 生物, 工学, 医学, 薬学, 農学, 経済学, 金融, 保険数理, ITなど様々な分野で用いられている. その基本となる確率論の概念と方法を, 例を用いた具体的な計算と 測度論に基づく定義・議論の両面から講義する.定理の証明よりも, それらの意味と使い方に重点をおく.
到達目標
: 確率論の基本的な概念と基礎事項, 方法に習熟する. その過程で, ブラック・ショールズの公式, ランダムウォーク, 分枝過程などの 有名な確率モデルに慣れ親しむ. また, 確率論を通じてルベーグ 積分論の理解を深める.
授業計画
:
  1. 確率空間, 標本空間, 可測空間, 確率測度
  2. (離散/連続)確率変数, 分布関数, 確率関数, 密度関数, ポアソン分布, 正規分布, 結合分布関数, 同時分布関数
  3. 期待値, 分散, 確率母関数, 積率(モーメント)母関数, 特性関数, 法則収束, ポアソンの小数法則, 中心極限定理
  4. 独立性, ランダムウォーク, 条件つき確率, 条件つき期待値, 分枝過程
  5. 確率収束, マルコフの不等式, チェビシェフの不等式, 大数の弱法則, 概収束, 上極限集合, 下極限集合, ファトゥの補題, ボレル・カンテリの補題, 大数の強法則
備考
: 解析学基礎B(ルベーグ積分論)を履修することを奨める.
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解析学G(4年2学期)

授業題目
: フーリエ解析
授業の概要(授業の目標)
: 1次元有限区間における関数のフーリエ級数展開は, フーリエが熱方程式の解を調べる目的で考案した. 一般の関数を3角関数の無限級数の形で表示する問題が 厳密に扱われたのはルベーグ積分論などが作られた 後のことであるが, フーリエの考えは偏微分方程式など 無限次元の問題を数学として研究する強い推進力となった. 無限区間における関数を3角関数を用いて表示する問題は フーリエ変換の理論として解決される. この成功は解析学の発展の 土台の一部を形成している. 特に 関数空間やフーリエ変換の理論は偏微分方程式の解の 解析に応用され有用な成果を生んできた. この授業では $p$ 乗可積分関数空間 ($L^p$空間), 急減少関数空間, ソボレフ空間 $W^{m,p}$ 等の様々な関数空間を扱い, その基本的な理論を講義する. フ−リエ変換の具体的な計算法も講義する.
到達目標
: フーリエ解析の背景や数学的位置づけを学ぶ. フーリエ変換の基礎理論を 身につける. $p$ 乗可積分関数空間, 急減少関数空間, ソボレフ空間の基礎的な 理論や定理の運用に習熟する. また, 与えられた関数のフ−リエ変換像が計算出来るようになる.
授業計画
:
  1. 無限回微分可能関数空間, 急減少関数空間
  2. $p$ 乗可積分関数空間の理論(ヘルダ−の不等式, ミンコフスキー不等式, 合成積, ハウスドルフ・ヤング不等式, 等)
  3. フリ−ドリックス軟化作用子
  4. フ−リエ変換の理論, プランシュレルの定理
  5. フ−リエ変換の応用, ソボレフ空間, 弱微分, 等
  6. (時間が許せば)シュワルツ超関数にも触れる
備考
: 解析学基礎B(ルベ−グ積分論)の内容が前提とされる.

数理解析学続論 (バナッハ空間論)(4年1学期または2学期)(不定期)

授業題目
: バナッハ空間論
授業の概要(授業の目標)
: バナッハ空間とは完備なノルムをもつベクトル空間のことである.すなわち,ベクトルの動きを 統制するよいノルムが与えられたベクトル空間である.定義自体は簡素であり,また次元についての 制限もないが,無限次元のベクトル空間の解析において力を発揮する重要な道具である.例えば, 解析学でよく扱われる関数の空間(連続関数,微分可能な関数,$p$ 乗可積分な関数など)には バナッハ空間の構造を持たせることができ,完備性により様々な解析を行える. 実際, 偏微分方程式論, 確率論, 調和解析学, 複素解析学, など様々な解析分野でバナッハ空間論の一般論が 利用される. 解析学D で扱うヒルベルト空間もバナッハ空間の一例である.この講義ではバナッハ空間や, 無限サイズの行列とも言える有界線型作用素の一般論とその応用例を扱う.
到達目標
: バナッハ空間と有界線形作用素の基礎的事項を習得する.
授業計画
: 基礎編
  1. バナッハ空間の定義と例
  2. 有界線形作用素と一様有界性原理, 開写像定理
  3. 閉作用素と閉グラフ定理
  4. 共役空間と弱収束,汎弱収束,反射性, 汎弱コンパクト性
  5. 共役作用素, ハーン・バナッハの定理とその応用
応用編 (以下の項目から選択して講義する)
6A:
作用素とスペクトル
6B:
関数空間の例とフーリエ変換
6C:
微分方程式への応用例
6D:
その他
備考
: 解析学Dを履修している事が望ましい. 応用編については担当者によって内容が異なる.
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数理科学A(3年2学期)

授業題目
: 数値解析・数値計算
授業の概要(授業の目標)
: 数値解析とその数学的基礎および応用について解説する. 単に数学の理論のみならず, その数値解析方法の計算機への実装・ 応用も扱う.
到達目標
:
  1. 数学の計算を計算機の上で実行するための能力 (アルゴリズムや丸め誤差への理解)を身につける.
  2. 計算機で科学技術計算を実行するために必要な数学理論(数値解析手法)を理解する.
  3. 科学技術プログラミング技法を身につける.
授業計画
: 次から選んで講義する.
  1. 線形方程式の数値解法 (直接法・反復法・共役勾配法)
  2. 非線形方程式の数値解法 (ニュ−トン法)
  3. 常微分方程式の数値解法(初期値問題・境界値問題・数値積分)
  4. 関数近似 (最小2乗法,直交関数近似)
  5. 数値積分 (台形則, ガウス選点公式, DE公式)
  6. 確率・統計の数値計算 (確率分布,モンテカルロ法)
備考
: 基礎数学科目の「コンピュ−タ」を履修していることが望ましい. 数理科学演習を合わせて履修すること.
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数理科学演習(3年2学期)

授業題目
: 数値解析・数値計算の演習
授業の概要(授業の目標)
: 数値解析・数値計算で学んだ理論に基づいて実際にプログラム作成する能力を 養う. また, 実践的なプログラミング上の必須事項「データ構造とアルゴリズム」 についても演習する.
備考
: 基礎数学科目の「コンピュ−タ」を履修をしていることが望ましい.
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数理科学B(4年1学期)

授業題目
: 非線形現象の数理と数値シミュレーション
授業の概要(授業の目標)
: 非線形現象の解析に必要な数学的基礎 および数値シミュレ−ション手法について講義する.
到達目標
:
  1. 分岐理論など非線形現象の解析手法の理解
  2. 非線形現象のいくつかの具体例を通してそのシミュレ−ション と数理解析についての手法の習熟
授業計画
: 以下の内容から選んで講義する
  1. 分岐理論の初歩(漸近展開などにも触れる)
  2. 微分方程式の数理とシミュレ−ション
  3. カオス力学系の数理とシミュレ−ション
  4. 結合系の数理の数値シミュレ−ション
備考
: 解析学E(力学系入門), コンピュ−タ, 数理科学A(数値解析・数値計算)の履修が 望ましい.
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数理解析学続論 (非線形数学)(4年2学期)

授業題目
: 非線形現象の数学的構造
授業の概要(授業の目標)
: 自然現象の奥底に潜む非線形な構造を数学的に捉える方法について 解説する. まずは、様々な現象の例から非線形性とはどういう性質で、 どのような困難を引き起こすのかを考察する. 非線形な複雑現象を 数学的に扱うための概念・手法は、解析学、幾何学、測度論等、 様々な数学分野の理論に基礎を置いている。本講義では特にカオス・ フラクタル、統計力学、PDE 等を駆使した新しい方法論の中から 講義担当者が話題を選び講義する.
到達目標
: 自然現象の様々な例において, 非線形性やその効果を知る. それを数理的に扱うための概念や手法を習得する.
授業計画
: 非線形現象の数学的構造について講義する.
  1. 自然現象に見られる非線形性
  2. 非線形ダイナミクスと分岐現象
  3. カオス,フラクタルの概念とその応用

確率・統計入門 (2年2学期, 3年2学期, 4年2学期)

授業題目
: 確率・統計入門
授業の概要(授業の目標)
: 確率論のアイデアや統計的な解析手法は,膨大な量のデータに潜む 「構造」を定量的に浮かび上がらせてくれる.したがって,科学全般や経済・ 金融工学だけでなく,世の中の様々な分野で確率・統計学の知識は重要視 されている.本講義では,測度論に基づかない基本的な確率論の計算や, 統計的解析の正当性を保証する「大数の法則」や「中心極限定理」の考え方, および統計学で使われる概念や論法を学ぶ.
到達目標
: 具体例を用いて基本的な確率論の計算や統計学的解析ができるようになること.
授業計画
:
  1. 順列・組合せ,(条件つき)確率,独立性
  2. 確率変数,平均,(共)分散,母関数,回帰直線
  3. 二項分布,ポアソン分布,幾何分布,一様分布,指数分布,正規分布
  4. 大数の法則,中心極限定理
  5. 標本平均,不偏分散,$\chi^2$分布,$t$分布,$F$分布
  6. (点/区間)推定,最尤法
  7. (両側/片側)検定,(帰無/対立)仮説,検定統計量