石川剛郎 教授

ISHIKAWA Goo

幾何系

所属
大学院理学研究院
研究分野
幾何学(特異点論,実代数幾何,トポロジー,非ホロノーム系)
キーワード
サブリーマン幾何, ヒルベルト第16問題, ラグランジュ・ルジャンドル多様体, 代数曲線と特異点, 可展部分多様体, 微分式系の解空間の特異点, 応用特異点論

研究概要

研究内容

写像の特異点論:ラグランジュ・ルジャンドル特異点、外微分式系の特異点、写像商空間の微分構造、カタストロフ理論、トム・マザー理論。シンプレクティック・接触幾何:ハミルトン・ヤコビ方程式のコーシー特性問題、サブリーマン幾何、射影・グラスマン双対性、ガウス写像が退化するフロント。実代数幾何:実代数多様体のトポロジー、ヒルベルト第16問題、実有理曲線と三角曲線のトポロジー。実代数的等質空間、オイラー標数とオイラー障害。などの研究を行っています。

  • 特異点論は、いろいろな対象の特異点とその構造、対象全体の空間内の特異なもののなす部分空間すなわち分岐集合の構造を調べます。もちろんいろいろなヴァリエーションがあります。詳しくは、泉屋・石川著「応用特異点論」共立出版、をご覧ください。
  • ヒルベルト第16問題では、実数の係数をもつ多項式の零点集合の位相的位置について調べます。このとき、複素数の上の代数幾何も多様体論やトポロジーも特異点論も何でも使います。詳しいことは、徳永・島田・石川・齋藤・福井著「代数曲線と特異点」共立出版、第II部をご覧ください。
  • 古典力学や量子力学と関係するシンプレクティック幾何の枠組みで、特異点論を推進していこうというのが、私のテーマです。さらに量子トポロジー、量子特異点論など未知の分野への興味はつきません。私は過去いろいろなことに手を染めてきましたが、ごく最近、すべての興味が「微分式の解空間のトポロジー」に収束しつつあり、喜びにあふれて研究三昧(ざんまい)の日々です。
  • 大学院で学ぼうとしている方へのアドバイス:やはりいい研究をしようと思うと、問題を見つけたりそれをなんとか自分で解決するために、数学内外の深い知識とセンスが要求されます。まあそれは興味をもった段階で勉強すればたいてい間に合います。長い目でみると、知的好奇心を持続させることが一番大切です。
  • 研究の極意:見逃さない。手をぬかない。こだわらない。あきらめない。

主要論文

  • G. Ishikawa, Y. Machida, M. Takahashi, Singularities of tangent surfaces in Cartan’s split G2-geometry, to appear in Asian Journal of Mathematics (2015).
  • G. Ishikawa, Generic bifurcations of framed curves in a space form and their envelopes, Topology and its Applications, 159 (2012), 492–500.
  • G. Ishikawa, Symplectic and Lagrange stabilities of open Whitney umbrellas, Invent. math., 126-2 (1996), 215–234.

研究者総覧

https://researchers.general.hokudai.ac.jp/profile/ja.3168307687322bb6520e17560c007669.html

個人のWebPage

http://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~ishikawa/

連絡先

ishikawa(at)math.sci.hokudai.ac.jp

インタビュー

Q. どんな研究をされてますか?

photo大きく分けると幾何学なんですが,実代数幾何と特異点論という分野で,どういう研究か一言でいうと,目に見える図形を研究しているという感じですね。今の幾何学というのはすごく発展していて,高次元というか抽象的な話を背景にしてるけれども,そういうものを応用して具体的な平面曲線の配置や,図形の尖ったところを特異点といいますが,それを調べたり分類したりという研究をしています。

Q. どうしてそこに興味を持ったのですか?

やはり,研究していてわかりやすいということですね。抽象論だと,よくわからないところから出発してよくわからないことを導くということがあり,どういう意味があるかはっきりしなかったりするけれども,割と具体的なテーマだと途中使うことは難しくても結果としてはっきりわかるので,やってて楽しいですね。長年やっててそういうことに行き着いたというか,そういうことしかできなかったというか(笑)

Q. 長年という言葉がでましたが,ご自身で大学院生だった時にこちらの方面に進むきっかけはありましたか?

元々数学をやろうと思ったのは,広中平祐先生が僕が高校生の時にフィールズ賞をとられて,それで面白そうだなと思って京都で大学に入って・・・。何で数学かというとそれしかできなかったというのもあるし,大体ボーっとしてたというか奥手というかそういう学生だったと思うので,他にやりたいこともないしという感じで大学院に・・・。
モラトリアムというか現実逃避というか成り行きでした(いい意味で)。数学をやるのが楽しかったのでもう少し続けたいというのもありました。僕の指導教官が足立正久先生という方で,残念ながらもう亡くなられたのですけども,比較的自由にやらせくれたので,自分で勉強して問題を見つけて論文が書けて,おかげさまで研究を続けられて今に至っているって感じです。

Q. ご自分の大学院生時代を踏まえて,今の大学院生にはどうあってほしいですか?

いろいろな人がいた方が面白いと思うけれども,基本的に好奇心を持つことが大事だと思います。いわゆる知的好奇心でもいいし,それ以外でも何か興味があるというのが最低限期待したいですね。そして,好奇心を持続できること。大学院というのは研究するところなので,自分で興味をもったところを研究する研究心というのか,それは持っていてほしいと思います。予備知識などは必要な時に吸収できるので,何も知らなくても大丈夫です。(笑)
(インタビュアー:本当ですか?)例えば数学だと,微分積分と線形代数だけはしっかり勉強してきてほしいけどそれ以上の知識というのは,実際どれだけ必要になるかわからないので。先程言った,好奇心と研究心があれば大丈夫です。

Q. 今まで教えた学生はどのように育ちましたか?

僕の指導教官の足立先生を見習って大体放任主義で本人がやりたいことに付き合うという感じで・・・。そうですね,修士を無事卒業して企業の研究所に行った人もいるし,高校や高専の数学の先生になった人もいます。市役所や銀行に就職した人もいるし,自動車メーカー関係の設計を幾何を使ってやってる人もいるし。研究者志望で修士に入るという人もいて,先程も言ったようにいろいろな人がいていいと思います。研究者になろうと思って勉強して博士後期課程に進んで研究者になれるという人もいますし,そうでない人もいて。
それなりに修士2年間で,基本的に嫌いなことはしないで好きなことだけ勉強して何か達成感というかそういうものをある程度味わって社会に進んで,その2年間を結果的に有意義に活用してくれればと思ってます。

Q. その達成感を得る感じというのは,大学院に入って一つのことを一生懸命勉強するということで得られますか?それは,大学院に入るメリットになりますか?

そうですね。学部の間にも時間はありますが,けっこう忙しいですよね。数学というのは割と難しくて,勉強しても多分時間的に短いですね,4年間は。もう少しやりたいなと思って,あと2年ぐらい研究して好きなことをやっていくとわかる時期ってあるんですよね。僕もずっと研究を続けてるけど,最初は五里霧中で,でもよくわかりませんがわかる瞬間があるんですね。どんなテーマでも細かいことでも,そういう時期というのが必ずあって。でもそれは,自分の興味のあることをずっと続けていかなければめぐり合えないですけども続けていればいつかあるんですね。
もちろん,学部の間にそういう事を経験できる人もいるかも知れないけれど数学ではなかなか難しいのでそうはいかなくて,修士の間2年間あるのでその間に好きなことをやりながら達成感を味わえる瞬間というのに出会ってほしいと思います。

受験生へのメッセージ

数学というのは役に立たないように見えて,実はいろいろなことに役に立つので大学院を出てからいろいろな分野に進むことができます。今の世の中はますます複雑になってきていて,今までは文系とかいわれている分野でも数学を大学院でしっかり学んだ学生が就職して,数学の大学院でなければ研究できないような事を活用しながら活躍している人もたくさん出てきています。「ああ,あの時に大学院に進学しておけば良かったな」と後悔しないようにしてほしいと思います。

2005年(平成17年) 5月インタビュー実施