栄伸一郎 教授

EI Shin-Ichiro

数理科学系

所属
大学院理学研究院
研究分野
非線形解析
キーワード
反応拡散系, 漸近展開, 非線形偏微分方程式

研究概要

研究内容

生態系や化学反応系など、自然界に現れるさまざまな時・空間パターンの形成メカニズムに興味があり、その背後にある構造をモデル方程式を通して数理的に理解することを目標としています。扱うモデルは主に反応拡散系と呼ばれるタイプの方程式系で、見かけは単純ですが非常に多様な解の挙動を示すことが知られていて、複雑な自然現象の何かを確かに反映していると期待して研究しています。そうしたさまざまなパターンにとにかく興味があるということが重要で、それが当研究室で学んでいく上での強い動機と意欲を与えてくれるものと考えています。そういう人を歓迎します。

主要論文

  • S.-I. Ei and E. Yanagida, Slow dynamics of interfaces in the Allen-Cahn equation on a strip-like domain, SIAM J. Math. Anal. vol. 29(1998), 555-595.
  • S.-I. Ei, The motion of weakly interacting pulses in reaction-diffusion systems, J.D.D.E. 14(1) (2002), 85-137.
  • S.-I. Ei, M. Mimura and M. Nagayama, Interacting Spots in reaction diffusion systems, DCDS 14 (2006), 31-62.

研究者総覧

https://researchers.general.hokudai.ac.jp/profile/ja.11a9170d2c26cb6e520e17560c007669.html

個人のWebPage

https://www.math.sci.hokudai.ac.jp/~Eichiro/

連絡先

Eichiro(at)math.sci.hokudai.ac.jp

学生へのひとこと

数学を他分野に応用しようと思えば無限の可能性を持っています。 大学では純粋に学問としてだけでなく応用も視野に入れて学べば更に理解と楽しみが増すことでしょう。

インタビュー

①ご出身はどちらですか?

出身は石川県で高校までは石川県なのですが、その後は京都と広島で大学生活を過ごし、そこからは横浜、九州、北海道といろいろなところに行きました。

②どんな研究をしていますか?

数学を自然現象の理解とか解明に使いたいということで、例えば生命現象とか、生物ならいろいろな模様があったり角が生えていたり、いろいろな形がありますけども、その背後にある数学的な構造に注目して研究しています。きっちりとした理論があるわけではありませんが、ある特定なものに関しては方程式みたいなものがあって、それをコンピューターシミュレーションをすると実際の生物とそっくりな模様ができたりする。数学理論はその全体を解明しているわけではないけど、特にその模様の特徴的な部分はなぜそのような模様がでてくるのかということに数学が少し役立ったりするということで。
数学と自然科学を融合したようなそういうものを研究しています。

―ドラマなどで自然の現象について数式で解くというようなシーンを見ましたが、あれは本当ですか?

もちろんあれは夢物語ではあるんですけれども、ある意味で理想ですね。将来つきつめて学問が発展したらきっとあれくらいのとこはできるようになるだろうと…今天気予報にしてもなんとなく当たる様な当たらないような感じですが、もっと進めば何時何分にどこでどれだけの風がどの方向に吹くということが将来的にはわかるようになるはずだと思うのでそういうことがどんどん進んだ究極の姿としてはああいうドラマもあるかもしれません。現代の設定だとギャップがありますが。

③数学にはいつごろから興味がありましたか?

基本的には小中高の時の影響が大きいと思います。あの科目の中で数学だけがよく理解できて、なんとなく雰囲気的に自分はこの世界に進んだほうが頑張れるんじゃないかと高校生くらいのときに思いました。
大学くらいには物理にしようか数学にしようかと迷っていたのですが、ちょうど進んだ大学がどちらかにはっきりと決めなくてもよかったので、ずっと迷いながらも最終的には4年生のときに数学の方で卒業研究を取ったのでそのときに数学ということになりました。
いずれにしても数式をいろいろといじっているのが好きだったので、そうなると理論物理か数学科ということになるのですが、割と迷うことなく進みましたね。

④修士から広島大学に移ったのですか?

4年生までは京都大学で修士からは広島大学に移りました。僕の大学時代の指導教員が量子力学の専門のようなことをやっていたのですが、量子力学もある程度確立してきたし、あんまり数学的にやる分野が残っていないのではないかと言われて…もちろんこれは嘘でまだまだやることはいっぱいあったのですが、まああんまりおもしろくないんじゃないかと先生は言っていて、それより広島大学に生命現象とか科学反応とかに数学を応用しようとしているある意味日本のパイオニア的な人がいて、当時だと当然生物に数学が応用できるなんて全然考えられていなくて、数学と生物は全く関係のない学問だと考えられていたのですが、そこを初めて関係付けようとしているような新しい学問ができつつあるということで、興味があったら行ってみたらどうだと言われまして…広島に行くことになったというわけです。

⑤大学時代はどのような学生でしたか?

大学の時は普通にサークルに入っていたので、普通のあんまり勉強しない学生だったと思います。2年生まではサークルに打ち込んでいたので、ほとんど勉強していませんでしたが、3年生でいよいよ数学に進むのか物理に進むとか生物にいくのか決めなきゃいけないというという時期になって、はて自分はどれくらいできるかなと見たときにどれももう全然勉強していなくて、これはちゃんとやらないとだめだということで3年生のときから本格的に勉強しました。

⑥数学の道に進もうと決めたのはいつ頃ですか?

高校生のときにはとにかく数式を使うような分野には行こうとは思っていて、それで大学3年生のときにほぼ固まって、広島に行って確定しました。確定したと言っても分野が分野というかその…生物とか数学の関連を調べるということで必ずしも従来のような純粋な数学というだけではなく、もちろん普通の数学も勉強しますが、化学や生物や植物の学生さんとかと議論したりして、いろんな分野の人と関わる必要があって、逆にいろんな分野の人と話していて、自分のアイデンティティは何なのかと考えたときに、自分は軸足はしっかりと数学に置こうとちゃんと決めました。

⑦休日は何をされていますか?

家族ができるまでは家に閉じこもってパソコンを作ったりしてました。家族ができてからは積極的に外にはでるようにしています。

⑧学生にアドバイスはありますか?

数学に限ったことではありませんが、結局最後理解するところは自分一人だよ、ということが言いたいです。マイペースというのも自分の経験から
いろんな人と議論をしていて、なんとなく雰囲気はわかるんだけれども、本当に最後のところでちゃんと理解するのは自分ひとりの頭で考えなければならないという…。30分で理解できる人もいれば半日かかる人もいるかもしれませんが、せっかく学生なのだから時間は気にせずに自分が理解できるまで、じっくり考えて見るということをするとだんだんとちょっとずつわかってくるんじゃないかと思います。とにかく最初は理解できなくていいと思うんですよね。むしろ理解できないという意識があるくらいの方が、自分はそれをちゃんと理解しなければならないという動機があると思うし、理解しているしていないよりも最後は自分の頭で理解するという意識で勉強していればどんなものもいつかは理解できるんじゃないかと思います。

⑨同じようなことになるかもしれませんが、学部生1年生に向けてなにかメッセージはありますか?

もしこの世の自然現象に興味があるならその本当のベースにあるのは数学なのではないかと思います。生命系は非常に複雑ですが、自然現象の全ては結局つきつめれば何かの法則にもとづいて動いている訳で、そういうものをちゃんと目で見ようと思った時に見える唯一の方法が数学ではないかと思います。証明とかするようなイメージにとらわれず、実は自然科学を理解するすべてのことに数学はつながっているので、もし自然科学に興味があるならば是非数学にきてください。

2015年(平成27年) 10月インタビュー実施