跡部発 准教授

ATOBE Hiraku

代数系

所属
大学院理学研究院
研究分野
保型表現論
キーワード
Langlands対応, モジュラー形式, 保型表現

研究概要

研究内容

保型形式とは豊富な対称性を持つ関数であり、L-関数の解析接続や関数等式など、多くの整数論的な情報を引き出すことができる。
私は保型形式のなす表現である保型表現を研究している。
古典群の保型表現の分類であるArthur分類は非常に難しい。
私の研究の主な目的は、保型形式のリフティングを用いて、
このArthur分類をより詳しく調べることである。

主要論文

  • H. Atobe and W. T. Gan,
    Local theta correspondence of tempered representations and Langlands parameters.
    Invent. Math. 210 (2017), no. 2, 341–415.
  • H. Atobe,
    On the uniqueness of generic representations in an L-packet.
    Int. Math. Res. Not. IMRN 2017, no. 23, 7051–7068.
  • H. Atobe,
    The local theta correspondence and the local Gan-Gross-Prasad conjecture for the symplectic-metaplectic case.
    Math. Ann. 371 (2018), no. 1-2, 225–295.

研究者総覧

リンク

連絡先

atobe(at)math.sci.hokudai.ac.jp

インタビュー

ご出身はどちらですか?また、ご出身大学はどちらですか?

出身は大阪府富田林市というところです。大学、大学院ともに京都大学です。京都大学数学教室に行っていました。

どのような大学生活を送っていましたか?

必死で数学やっていましたね。月から金まで大学に行って数学をやって。土日まで数学をやるのもどうかなと思って、土日はバイトをしていました。友人に誘われて、ファーストフード的なところでやっていましたね。

いつ頃から数学が得意というか、好きでしたか?

得意だなと思うようになったのは小学校頃からですかね。ただ大学1年生の頃は、最初はあまりにも大学数学がわからなくて。高校と比べてガラッと変わりましたね。そこで少しくじけそうになったこともありました。

先生の分野である「保型表現論」というのを、簡単にご説明いただけますか?

う~ん(笑)簡単には説明が難しいんですけど。もうちょっと大きい分野に「整数論」と言うのがありまして、1、2、3、4、とか、そういう性質を色々調べて行きたいというものなんですが、この分野は非常に歴史が長くて、簡単にできることは既にやりつくされてしまったんです。ですのでもっと深く知るためには、他のいろんな分野での数学を駆使してやろうと。私の分野は解析学などを使って整数論を調べるという分野です。どちらかといえばあまり華やかな分野ではなくて、表舞台で華やかに活躍してくれる人のために道具を作っている、といった感じです。

裏方的な?

はい。裏方的な。職人技で作っていくという感じの。ちなみにこの分野は昔から日本人が強かったそうです。日本の技術力といったところですかね・・・そんなふうに、僕らが元になるものを作っているという感じですね。

研究分野は、いつ頃決めたのですか?

学部3年生の始まる前くらいに、先輩から教えてもらった教科書を読みまして。それを読み終わった頃に「こういう分野に行こう」と思うようになりました。実際には、その内容で学部4年生の時に先生と一緒にセミナーをしたんですが、1年間やってみて「これは厳しいな」と思ってちょっと路線変更したという感じですね。
ちなみに指導教員は、学部4年生の時からずっと同じ先生にみてもらいました。最初は研究内容に興味があるなかで、この先生がいいな、といった感じで決めました。でもふたをあけてみると、僕がやりたかったことに一番近い方でした。

研究で行きづまる事はありますか?また、そんなときはどう対処されていますか?

ありますよ、だいたい行きづまっています。今は・・・行きづまっている事をいったん横に置いて、とりあえずなかった事にしています(笑)対処法としては、まあ、とことん考えるということですね。あとは、気分転換が重要です。とりあえずその問題は心の片隅には置いておいて、気分転換を。散歩に行くとか、テレビを見るとか、寝るとか。大体アイデアは布団の中にいるときに出てきますね。

アイデアがひらめくとか降ってくるとか時々聞きますが、実際そんなことってあるんですか?

ありますよ。私の学位論文も、良く覚えているんですけど、ちょうどシルバーウイークといわれる1週間でしたね、9月の終りごろ。当時行き詰っていた問題で、布団の中でゴロ寝をしていたら、急に思いついて、そのアイデアを使えば別の問題も解けるのでは、と気がついて。でもこの問題がこんなに簡単に解けるはずがないと、3日間くらい悩んで。どこが間違っているのか分からなかったので先生にメールをしたら、「それは合っている」といわれました。

数学科に行きたいなと思っている高校生、または大学1年生に向けて、何かアドバイスはありますか?

高校数学と大学数学は、歴史的にも100年程空いています。高校からすると、急に100年後の世界に来た、という感じになりますので、ガラッと変わります。それに慣れるまでは苦労しますが、大事なのは、良く学び、良く遊べ、といった事ですかね。

2019年(令和元年) 6月インタビュー実施