大原 雅教授/OHARA, Masashi
生物個体は生まれてから様々な過程を経て、最後には死亡します。ある個体は出生後、成長、繁殖した後に、また、ある個体は生長の途中で死亡してしまう場合もあります。このような生物個体が生まれてから死亡するまでに行う生活活動が生活史(life history)です。植物の生活史にはさまざまな過程が存在しますが、その過程の進行のしかたや時間的な流れは、木本植物・草本植物、1年生植物・多年生植物で異なります。また、それらは種間で異なるばかりではなく、種内でも生育環境により異なります。私の研究室では、野生植物を対象に野外生態調査ならびに室内実験を通じて、植物の生活史の適応・進化を明らかにすることを目的としています。
私たちの身の回りには四季折々の野の花が咲きます。タンポポ、シロツメクサなど花の名前を知っていても、「花が咲くまでにどれくらいかかるの?」「どのようにして子孫を残しているのか?」という生活史に関する素朴な質問にどれだけ答えることができるでしょうか?
私たちの研究室では、多様な環境条件下で進化してきた植物の生活史を明らかにするために、野外での「フィールド調査」ならびに室内での「遺伝解析実験」を通じて日々楽しく研究を進めています。そして、さまざまな植物の生活史を明らかにすることは、これから未来へ受け継いで行かなくてはいけない貴重な地球の自然環境を守るためにも役立つと考えています。
参考文献
- 花の自然史(1999)北海道大学図書出版会
- 植物の生活史図鑑 1-3(2004-2007)北海道大学図書出版会
- 植物の生活史と繁殖生態学(2010)海游舎
個体群の遺伝的多様性
個体群を構成する個体間に見られる遺伝的変異のことです。遺伝的多様性は、種多様性などと同様に生物多様性の重要な要素であり、個体群の遺伝的多様性の大きさは個体群の絶滅確率を大きく左右することが考えられています。(大原雅)
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個体群の時間的・空間的動態
種子などから発芽し、一度定着した個体が同所的に生育する同種あるいは他種個体の間で、どのような過程を経て成長し、死亡あるいは生存して繁殖に至るかなどの個体群の変化を意味します。(大原雅)
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植物の受粉・交配様式
固着性の植物において花粉の移動は数少ない遺伝子散布の機会です。しかし、自らが直接交配の相手を選択したり、花粉の移動先を決定することができないため、自分の遺伝子を確実に、かつ効率よく次世代に残すためにさまざまな受粉・交配様式が進化しました。(大原雅)
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